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大阪大学の教員によるミニ講義

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血管新生を阻害せよ! 注目のがん治療法

がんは自前で血管を作り増殖する

 人間の体の細胞は、血液から酸素や栄養を補給しており、その血液は血管の中を流れています。がん細胞が増殖するためには、多くの酸素や栄養が必要で、そのためには血液が流れる血管が必要です。そこでがんは新しい血管を形成(血管新生)し、周囲の血管から血液を引いてきて、がん細胞の中に酸素や栄養を取り込めるようにします。こうしてがんはどんどん大きくなり、体中に転移を始めます。この血管新生を阻害できれば、がん細胞に栄養が行き渡らないので、いわゆる「兵糧攻め」で、多数のがん細胞を死滅させることができ、治療に役立つと考えられています。

がんの血管新生のメカニズム

 血管の内側は血管内皮細胞で構成されており、この細胞が血管新生のカギを握っています。がん細胞はまず血管内皮細胞の増殖を刺激するタンパク質を分泌します。さらに周囲の結合組織を分解する酵素を出して、増殖した血管内皮細胞をがん組織の方へ導き、新しい血管を作っていきます。つまりがん細胞は血管新生のためにさまざまな指令物質を作り出し、周囲の血管がその指令を受け止めているというわけです。ですから血管新生を阻害する薬剤には、「がん細胞が指令物質を作れなくする作用」か、「周囲の血管が持っている、指令を受け取るセンサーを効かなくさせる作用」のいずれかを持たせればいいことになります。

ミサイル療法で血管内皮細胞だけを破壊

 しかしこの方法論では、すでにできてしまった血管への効力は弱いと考えられます。近年の研究で、がんが作った血管の内皮細胞には、目印となるマーカータンパク質が存在することが明らかとなりました。それらをターゲットにして、がんの血管内皮細胞のみを破壊する薬を、狙いを定めたミサイルのように届けられれば、副作用が少なく効果的に血管新生を阻害できると期待されています。このように特定の分子およびその分子がある組織を目がけて薬剤を届ける療法は「ミサイル療法」と呼ばれ、患部だけを狙い打ちできる治療法として注目されています。

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薬学部  教授
中川 晋作

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メッセージ

 研究=知識ではありません。大学に入学するには最低限の知識が必要ですが、重要なのは知識をどれだけ持っているかではなく、生きていく上でどう知識を使いこなせるかです。薬学の研究も同じで、どうしたら患者さんに副作用が起こることなく治療できるか、ひとつの治療法がダメならどこをどう改善すればいいのか、などの攻め方を持てる知識を駆使して考えていくことが大切です。大学では“研究”を題材にして科学的論理思考に基づいた総合判断力を身につけてほしいと思っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬メーカー研究者/独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)職員/大学研究者 ほか

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