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抗体医薬が、がん治療を変える!

抗体は優れた生体防御システム

 人間は、体内に病原菌などの異物が入ってくると、それに特異的に結合する抗体を自ら作り出します。抗体とは免疫細胞が作るタンパク質の一種で、侵入してきた異物に結合してやっつけます。これが生体に備わっている防御システムで、「免疫」と呼ばれるものです。これまでに体内で作られたさまざまな抗体は、血液中を循環しており、病原菌などの攻撃から生体を守っていますが、この抗体をがん治療に利用する方法が、近年注目されています。

血液中をパトロールしてがん分子を発見

 がん細胞は通常の健康な細胞とは違う分子を持っているので、その分子を特異的に認識する抗体を作ればがん細胞に確実に照準を合わせられます。血液中をぐるぐる循環している抗体ががん細胞のその分子を見つけると、すぐさま結合し、さらにこの抗体にがん細胞を殺傷するはたらきのある免疫細胞が引き寄せられ、がん細胞を攻撃します。いわば抗体は血液中をパトロールする警備員で、怪しい特定の細胞を見つけると逮捕すると同時に、腕に覚えのある免疫細胞をも呼んできて相手をやっつけるというわけです。この仕組みを利用したのが「抗体医薬」と呼ばれるもので、そのいくつかは実用化されています。

ターゲットのがんに確実にヒット

 通常のがん治療では、抗がん剤が血液中に入って全身を循環するので、健康で活発な細胞にも悪影響を与えてしまい、例えば髪の毛が抜けるなどの副作用が現れます。抗体医薬は標的とする悪者の形を見分けてやっつける相手を特異的に特定できること、体の中で効果を発揮する時間が長いこと、副作用を軽減させる可能性があることなどが大きな特長です。「ターゲットの形を自分で見分け、狙ったターゲットにだけ作用する」という抗体医薬の特性は、当たり前のようでいてなかなか実現できなかったため、薬の役割としては大変画期的なのです。副作用の少ないがん治療は、患者さんや治療医の長年にわたる悲願でした。さらに実用化が進めば、がん治療の未来は大きく変わるでしょう。

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薬学部  教授
中川 晋作

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メッセージ

 研究=知識ではありません。大学に入学するには最低限の知識が必要ですが、重要なのは知識をどれだけ持っているかではなく、生きていく上でどう知識を使いこなせるかです。薬学の研究も同じで、どうしたら患者さんに副作用が起こることなく治療できるか、ひとつの治療法がダメならどこをどう改善すればいいのか、などの攻め方を持てる知識を駆使して考えていくことが大切です。大学では“研究”を題材にして科学的論理思考に基づいた総合判断力を身につけてほしいと思っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬メーカー研究者/独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)職員/大学研究者 ほか

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