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講義No.03316

宇宙に漂う塵(ちり)を使い、はるか彼方の星へ

補給なしでは行けるところも限られる

 自動車で出かけようとする場合、ガソリンの補給なしでは遠くへは行けません。もちろん宇宙でもそれは同じで、単なる化学ロケット(燃料などの化学反応を利用したロケット)では飛ぶ距離に限界があります。だからと言って多くの燃料が積める大きなロケットを作るのは、非効率です。しかし、もし自動車がガソリンスタンドに立ち寄るようにロケットも途中で補給できれば、燃料を最初からさほど積まずに済み、ほかの荷物を積むこともできます。

宇宙の塵がガソリンに?

 一見、何もなさそうな宇宙空間において燃料(推進剤)に使えそうなのが、いわゆる宇宙塵(じん)です。ちょうど火星と木星の間には、壊れた星が細かい塵となって軌道を回っています。これらをうまく回収し、帯電させて電圧をかけることで噴射することができれば、ロケットの燃料として使えるのではないかというのが「スターダスト推進」の発想です。実は2010年に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」が搭載していたイオンエンジンも、その推進原理はほぼ同じ仕組みでした。ただしイオンエンジンはガスをイオン化させるものですが、スターダスト推進は塵を帯電させます。塵のような固体を帯電させて効率的に噴射するのは難しく、まだまだ多くの研究が必要です。

宇宙の特徴を利用する

 しかし、地球上を移動することに比べれば、宇宙空間では空気抵抗や重力がないので移動するためのエネルギーは小さくて済み、小さな力でもじゅうぶんな推進力になります。そのため、宇宙では何らかの力を発生する原理さえあれば、何でも推進システムに使うことができます。「はやぶさ」のイオンエンジンはもちろん、同時期に話題を呼んだ宇宙ヨット実証機「IKAROS」が積んでいた太陽風を推進力に使うシステムも、生み出す力は小さなものです。しかし、微小推力も長時間連続的に出し続ければ、抵抗の少ない宇宙空間ではどんどん速度を増すことができるため、最終的に高速度を達成できる推進力として使うことができるのです。

新しい輸送システムで遥かな宇宙をめざそう

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この学問が向いているかも 機械工学、航空・宇宙工学

静岡大学
工学部 機械工学科 教授
山極 芳樹 先生

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メッセージ

 宇宙研究に必要なのは主に物理と数学です。文献は英語で書かれたものが多いですから、読むための英語力も身につけておいたほうがよいでしょう。あとアーサー・C・クラークたちによるハードSFはアイデアの宝庫とも言えるので、読んでおくと役に立つかもしれません。実際、軌道エレベータや電気推進機は、クラークの「楽園の泉」や「2001年宇宙の旅」といった30~40年以上前の作品中にすでに見られます。人間が思いつくものはすべて、実現できる可能性があるものと言えます。宇宙研究は夢に挑戦する、実に面白い分野なのです。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から宇宙へ行きたいという思いが強くありました。当時は、アポロ計画による人類初の月面着陸が成功し、大阪万博に月の石が展示されたり、SF映画も話題になるなど宇宙ブームでした。また、SF小説も大好きで、特に『2001年宇宙の旅』の原作者であるアーサー・チャールズ・クラークの小説には大きな影響を受けました。大学時代には『スターウォーズ』に夢中になり、「ぜひ宇宙に行ってみたい、そのためには誰でも宇宙に行けるようなシステムを作りたい」という思いが強くなり、宇宙工学の道に入りました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

JAXA研究員、重工メーカー技術者、電機メーカー衛星開発者、航空機関連メーカー技術者、自動車メーカー技術者

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山極 芳樹 先生がいらっしゃる
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 静岡大学は、6学部19学科と全学横断型教育プログラム「地域創造学環」を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学のビジョンは「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。

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