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講義No.03315

エレベータに乗って宇宙へ行こう!

ハンマー投げの要領で、荷物を月へ運ぶ

 燃料などの化学反応を利用した化学ロケットはほとんどが燃料で占められ、あまり物を運ぶことができません。そこで新たな輸送システムとして考案されたのが、推進剤を使用しない「宇宙テザーシステム」です。これは、宇宙船からワイヤを伸ばし、先端に付けた荷物をハンマー投げの要領で高い軌道や惑星へ飛ばす仕組みです。また、このテザーに電流を流し地球磁場との干渉を利用して推力を発生させることもできます。このシステムは1990年頃からNASA(アメリカ航空宇宙局)などで研究が始まり、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)でも実現に向け、実験を行っています。

フィクションの世界が現実になる

 テザーの次なるステップとして考えられるのが、「軌道エレベータ」です。この場合、テザーをもっと長く伸ばし、宇宙と地表をつないで使います。軌道エレベータの発想自体は昔からありましたが、近年のカーボンナノチューブなどの新材料の発見により、にわかに現実味を帯びてきました。すぐ宇宙と地球をつなぐとまではいきませんが、成層圏のプラットフォームとつなぐぐらいなら既存の技術や材料でも可能です。完成すれば軌道エレベータを作るための技術実験や通信の中継点として利用できるのはもちろん、宇宙の入り口として、観光にも使えるでしょう。一番の問題は作るのにかかる大きなコストですが、そこさえクリアできれば、10~20年後には完成を迎えられるはずです。

エレベータなら訓練いらず

 現在、民間企業も宇宙旅行業に進出し、宇宙飛行士以外も宇宙へ旅立てるようになりました。もし軌道エレベータが完成すれば、宇宙はさらに近づくことでしょう。まず化学ロケットよりはるかに輸送コストが低くなりますから、一般の人でも手の届く金額になります。また、軌道エレベータなら、かかる重力は新幹線やリニアモーターカー程度なので宇宙に行くのに特殊な訓練はいりません。新たな技術で宇宙はますます身近になっていくでしょう。

新しい輸送システムで遥かな宇宙をめざそう

夢ナビライブ2015 名古屋会場

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この学問が向いているかも 機械工学、航空・宇宙工学

静岡大学
工学部 機械工学科 教授
山極 芳樹 先生

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メッセージ

 宇宙研究に必要なのは主に物理と数学です。文献は英語で書かれたものが多いですから、読むための英語力も身につけておいたほうがよいでしょう。あとアーサー・C・クラークたちによるハードSFはアイデアの宝庫とも言えるので、読んでおくと役に立つかもしれません。実際、軌道エレベータや電気推進機は、クラークの「楽園の泉」や「2001年宇宙の旅」といった30~40年以上前の作品中にすでに見られます。人間が思いつくものはすべて、実現できる可能性があるものと言えます。宇宙研究は夢に挑戦する、実に面白い分野なのです。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から宇宙へ行きたいという思いが強くありました。当時は、アポロ計画による人類初の月面着陸が成功し、大阪万博に月の石が展示されたり、SF映画も話題になるなど宇宙ブームでした。また、SF小説も大好きで、特に『2001年宇宙の旅』の原作者であるアーサー・チャールズ・クラークの小説には大きな影響を受けました。大学時代には『スターウォーズ』に夢中になり、「ぜひ宇宙に行ってみたい、そのためには誰でも宇宙に行けるようなシステムを作りたい」という思いが強くなり、宇宙工学の道に入りました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

JAXA研究員、重工メーカー技術者、電機メーカー衛星開発者、航空機関連メーカー技術者、自動車メーカー技術者

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山極 芳樹 先生がいらっしゃる
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 静岡大学は、6学部19学科と全学横断型教育プログラム「地域創造学環」を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学のビジョンは「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。

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