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講義No.03305

人類の未来に貢献する、タンパク質の構造解析(構造生物学)

タンパク質は生体活動の実行部隊

 タンパク質は人間だけでなく、あらゆる生物にとって非常に重要な物質です。タンパク質は生物の体をつくっているだけでなく、体内で起こるさまざまな活動を制御しています。ヒトゲノム(ヒトの持つ全遺伝情報)は言わば体全体の設計図で、そこに書かれた活動情報を実行するのがタンパク質というわけです。しかし、タンパク質の働きにはまだよくわからない点が多く、その解明のために有効なのが「X線結晶構造解析」という研究手法で、この研究分野を構造生物学と言います。

X線結晶構造解析でタンパク質のつくりを知る

 X線を物質に当てると、多くはそのまま突き抜けていきますが、一部は吸収されたり、原子核の周囲の電子によって散乱されたりします。タンパク質にX線を照射し、散乱されたX線を観測すれば、そのタンパク質の中に電子がどう分布しているか、つまり分子の立体的構造がどうなっているかがわかります。X線結晶構造解析で得られた結果(構造)は、実にさまざまな分野で役立つ可能性を秘めています。

医学・薬学をはじめ環境にも貢献

 タンパク質の構造解析は医学・薬学分野に大きな進歩をもたらしつつあります。人間の体に何らかの変化が起こるとき、そこには特定のタンパク質が関与します。つまり病気にかかった人は、健康な人と体内のタンパク質の種類や状態が違うのです。病気に関わるタンパク質の立体構造がわかり、その働きの原理が理解できれば、薬を作ることも可能になり治療効果が上がります。
 また、ある種の微生物は水素をつくる酵素を持っています。水素は二酸化炭素を排出しない次世代の有力エネルギー源として注目されています。もし水素生産酵素の構造を基に効率の良い触媒が開発されれば、水素の大量生産が可能になり、環境へ負担を与えない究極のクリーンエネルギー源の誕生につながります。さらに、生物は環境の変化に合わせて、新しいタンパク質を作り出すこともできます。タンパク質の構造解明は、生物の進化の解明へのカギのひとつと言っても過言ではありません。


この学問が向いているかも 理学、生命科学、構造生物学

兵庫県立大学
理学部 生命科学科 教授
樋口 芳樹 先生

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メッセージ

 理学とは自然科学の基礎研究を行う分野の総称で、自然現象・物質・生命の原理を解明する学問です。自然の振る舞いを発見・解明するのが目的であるため、工学・農学・医学などの応用科学のように「今すぐ実用化可能な技術や理論を確立できる」機会は少ないと言えます。電子の発見も、発見当初は社会に受け入れられませんでしたが、今では豊かな生活に欠かせないものです。世の中に広く役立つのが何十年、百年、二百年先になっても、今日の発見がやがて人類の生活を変えることになるかもしれません。それこそが理学の醍醐味なのです。

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 兵庫県立大学は、前身の神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学を統合し、新たな総合大学として出発しました。現在、6つの学部、14の大学院研究科、4つの附置研究所等を擁する、公立大学としては有数の規模の総合大学に発展しています。
 2019年からは「経済学部」と「経営学部」の2学部を再編し、「国際商経学部」と「社会情報科学部」を開設しました。
 これからも公立大学のトップランナーとして、兵庫から全国へ、そして世界を目指して、学生と共にTRY(挑戦)を合言葉に進んでまいります。

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