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講義No.03051

日本語学で日本人の意識変化を洗い出す

日本語の使い方は時々刻々と変化している

 日本語学は、言葉の使い方の法則を考える学問です。私たちは日々自然に日本語を話しているため、「日本語のすべてを知っている」と思いがちですが、実はそうでもありません。日本語は時々刻々と変化しているのです。
 最近、もうお昼を過ぎているのに、大学でお互いに「おはよう」とあいさつをしている学生が多くみられます。この現象を「日本語の乱れだ」と嘆くのは簡単ですが、日本語学では、「学生たちの“おはよう”の使い方に何か新しい価値が生まれているはずだ」と考えます。

昼でも「おはよう」とあいさつする理由

 「おはよう」は普通、朝のあいさつです。時間によるあいさつ言葉はほかに、「こんにちは」と「こんばんは」もありますが、「おはよう」は外で会う他人にも、同じ家に住む家族にも使うのに対して、「こんにちは」「こんばんは」は、家族や友だちには使いません。「おはよう」だけが、心理的に距離が遠い人にも近い人にも使える便利な言葉なのです。だから学生たちはこのあいさつを、実際の時間の枠を越えて使うようになったと考えられます。従来の日本語にはみられなくても、彼らの中では理にかなった日本語のルールなのです。

確認をソフトにうながす言い回し

 近年、お店で「こちらの商品でよろしかったですか」という言い回しをしばしば耳にします。「おかしな日本語だ」と怒る人がいますが、これにも何か理由があるはずです。例えば「これでよろしいですか」と言うと、お客さんに今すぐ確認を催促しているように思えて抵抗があるので、「よろしかったですか」と“過去のこと”にしてしまい、問いかけの印象をソフトにしているのではないかと考えられます。
 このように、さまざまな人が日々の生活で話している言葉をみつめると、現代の日本人がどのような価値観を持っているかが少しずつ見えてきます。日本語の変化には、日本人の意識の変化が隠れているのです。それを見つけることが日本語学の醍醐味であり出発点でもあります。

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この学問が向いているかも 日本語学

京都橘大学
文学部 日本語日本文学科 教授
安達 太郎 先生

先生の著書
メッセージ

 物事を「すぐ役立つかどうか」で判断しないでください。人生は短距離走ではありません。途中で脇道にそれ、いろいろな経験を積むことで、後の人生の豊かさが変わってきます。私は学生時代から文学が好きでしたが、数学にも興味がありました。最終的にどちらでもない日本語学を選びましたが、文学作品から集めたデータと数学の証明の知識が日本語学の検証作業に役立っています。一見何に役立つかわからないことにも興味を持ち、しっかりと道草を食いましょう。そこで得たものがきっと、ほかの人と違うあなたをつくってくれるはずです。

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 京都橘大学は、学園創立100年を越える伝統を基盤に、「自立」「共生」、実践的な教育をめざす「臨床の知」を教学理念に掲げる個性派・総合大学です。
 京都・山科の緑豊かな自然を背景にしたオレンジタイルで統一された瀟洒(しょうしゃ)な学舎が、豊かな学びの空間を演出しています。
 古都・京都をフィールドに、ことば・文学・歴史・文化財・建築・教育・観光・ビジネスなど多彩な分野を深く学べます。フィールドワークやインターンシップ(就業体験)などを積極的に展開しています。

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