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講義No.02697

クマが冬眠するメカニズムとは?

冬眠するクマ・しないクマ

 冬眠とは、寒い時期に動物が食物の摂食や運動を中止して、代謝活動を低下させた状態で冬季を過ごすことです。クマも冬眠する動物として知られていますが、そのうち、熱帯地域に生息するマレーグマや南米のメガネグマなどは冬眠をしません。現在、日本で一番南に住むツキノワグマは四国に生息していますが、やはり冬眠します。四国には剣岳(つるぎだけ)など、険しく高い山々が多いからと考えられています。
 さて、クマは冬眠中、どのような行動をしているのでしょうか。

クマの生き残り戦略

 クマは、一切飲まず食わずのまま、春まで4カ月ほど穴の中で眠り続けます。冬眠する動物と言えば、ヘビ、カエル、カメなどの変温動物をはじめ、コウモリやリス、ネズミなどの小動物が多く、ツキノワグマやヒグマのような大きな動物が冬眠するのは、大変珍しいことです。こうした行動は、長い進化の過程の中で、彼らにとって大きなメリットがあったからこそ得られたものと言えます。
 もともとクマは、肉を食べる動物でした。そこから進化して、今では摂取する食料の90%以上を植物質に変えています。しかし、冬の間は食べ物がなくなってしまうため、冬が訪れる前に木の実を大量に食べることで脂肪を貯え、冬眠中はひたすら眠りながらカロリー消費を制御していくのです。このような生活パターンは、クマ特有の進化であり、与えられた環境の中で生き残るための戦略でもあったのです。

クマの冬眠を人間に応用?

 なかにはクマの冬眠を、人間に応用できないかと研究している学者もいます。例えば、宇宙旅行の際に人間を冬眠状態にできれば、より遠い星の探査も可能になると考えられています。また、ケガや病気で寝たきりの状態の時も、冬眠状態であればエネルギーの損失を防ぎ、体力の消耗を抑えることができます。このように、クマの生態の研究で得られた成果が、さまざまな形で人間の生活にフィードバックされていくことでしょう。


この学問が向いているかも 動物生理学

北海道大学
獣医学部 獣医学科 教授
坪田 敏男 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 野生動物の研究には、面白さや魅力、重要性がたくさんあることを、ぜひ知ってほしいですね。高校生のころは好奇心にあふれ、いろいろ質問してくれるのに、大学に入ると学びへのモチベーションが下がってしまうように見えるのは、とても残念なことです。人生の勝負は、大学に入ってからだと私は思います。ですから、大学受験で燃えつきないようにしてください。余裕を持って大学へ入り、将来の夢を叶えるために卒業まで努力し続けることが、大事なのではないでしょうか。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時、犬や猫などたくさんのペットを飼っていて、獣医師になりたいと思い北海道大学の獣医学部に進みました。大学1年生のときに友人から「北大ヒグマ研究グループ」というサークルに入っていて、すごく面白いから一緒にやらないかと誘われたのをきっかけに、クマと関わることになりました。その後、北海道のフィールドを背景にしたヒグマの調査に参加し、クマや自然に魅了され、3年生のときにヒグマの研究をされている教授に出会い、獣医学的な研究も始めました。以来30数年、クマを中心とした野生動物の研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員、製薬会社研究員、地方公務員(獣医職)、海外の大学研究員(ポスドク)、国内の大学研究員(ポスドク)、大学職員

大学アイコン
坪田 敏男 先生がいらっしゃる
北海道大学に関心を持ったら

 北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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