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講義No.02696

GPSを使い、ヒグマの生態に迫る

クマへの正しい知識を

 北海道にはヒグマ、本州にはツキノワグマが生息しています。昔に比べ、クマが人里に出没することが多くなり、人が襲われる被害が増えています。よく、死んだフリをすれば大丈夫と言いますが、全くの迷信です。人間の方が、なるべくクマに出会わないよう対処しなければならないのですが、クマについての正確な知識が広く伝わっていないため、なかなか問題が解決されません。クマの習性についてよく知っていれば、被害はかなり減らすことが可能になります。そうしたクマの生態についての研究成果を人々の安全な暮らしに役立てようとしています。

捕獲して行うヒグマの調査

 奥深い山中で暮らすヒグマの観察を実際に山中に入ってフィールドで行うことは、とても調査効率が悪いため、現在は檻を仕掛けて捕獲するスタイルをとっています。春先から夏の活動期に行うことが多く、捕らえるのは若いクマから年老いたクマまでさまざまです。檻に入りやすいのは、行動範囲の広いオスで、時には親子グマが入ることもあります。調査のフィールドは、北海道東部の知床半島、標津町、浦幌町、南部の渡島半島などが主で、官民と共同で研究が行われています。
 檻で生け捕りにしたヒグマには、吹き矢を使って麻酔を打ちます。その後、体重や身長の測定、血液採取などをしてから、GPS(全地球測位システム)を装備した発信機つきの首輪をはめ、山に返します。

発信機でクマの行動をつぶさに観察

 発信機による調査では、ヒグマの行動を1年かけて追跡します。どのあたりを移動して生活しているのか、どのくらいの時間食べているのか、冬眠する時期はいつかなど、あらゆるデータが自動的に発信機の中に記録されます。また、どれぐらいのスピードで移動したのか、速度計で調べることもできます。そして1年後には、首輪をタイマーやリモコン操作で外して回収します。そうして手に入れたデータをもとに、ヒグマの生態を細かく分析、研究しているのです。


生物多様性保全をめざして 野生動物を知る

この学問が向いているかも 動物生態学

北海道大学
獣医学部 獣医学科 教授
坪田 敏男 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 野生動物の研究には、面白さや魅力、重要性がたくさんあることを、ぜひ知ってほしいですね。高校生のころは好奇心にあふれ、いろいろ質問してくれるのに、大学に入ると学びへのモチベーションが下がってしまうように見えるのは、とても残念なことです。人生の勝負は、大学に入ってからだと私は思います。ですから、大学受験で燃えつきないようにしてください。余裕を持って大学へ入り、将来の夢を叶えるために卒業まで努力し続けることが、大事なのではないでしょうか。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時、犬や猫などたくさんのペットを飼っていて、獣医師になりたいと思い北海道大学の獣医学部に進みました。大学1年生のときに友人から「北大ヒグマ研究グループ」というサークルに入っていて、すごく面白いから一緒にやらないかと誘われたのをきっかけに、クマと関わることになりました。その後、北海道のフィールドを背景にしたヒグマの調査に参加し、クマや自然に魅了され、3年生のときにヒグマの研究をされている教授に出会い、獣医学的な研究も始めました。以来30数年、クマを中心とした野生動物の研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員、製薬会社研究員、地方公務員(獣医職)、海外の大学研究員(ポスドク)、国内の大学研究員(ポスドク)、大学職員

大学アイコン
坪田 敏男 先生がいらっしゃる
北海道大学に関心を持ったら

 北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。

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