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講義No.02670

農薬に頼らない雑草との闘い方

雑草は農業の敵?

 日本の農業の歴史は、雑草との闘いの歴史と言えます。特に稲作が始まって以来、現在に至るまでその闘いは続いています。そのため、農業者の意識には「雑草=敵」というイメージが強く刷り込まれており、「病害虫・雑草」とひとくくりにされるほど嫌われています。それだけに、全国でも雑草の研究をしている研究者は非常に少ないのです。
 でも、雑草を研究してみると、その中には作物に対する害が強いもの(悪い雑草)と弱いもの(いい雑草)があることがわかってきます。例えば、毒やトゲのない雑草は、牛のエサとして役立てることも可能です。それに、雑草は病害虫から作物を守ってくれることもあります。

農薬に頼らない生態的防除

 多くの農業の現場では、農薬を使って雑草を取り除いていますが、最近では農薬に抵抗性を持つタイプも現れています。さらに、自然環境への悪影響や生産コストのことを考えると、できるだけ農薬を使わない方法が求められています。そこで現在進められているのが、「生態的防除」と呼ばれる農薬に頼らない防除方法の研究です。生態的防除とは、雑草の生態特性を利用して、その生長や繁殖を管理し、作物をその害から守る方法です。
 例えば、いくつかの群落を選び、そこに生えている雑草の遺伝子を解析すると、その雑草がどのように広がってきたかを知ることができます。そこから、雑草の広がりを断ち切るポイントを見つけることが可能になります。また、問題となる雑草が広がる時期をはずして作物を植えることで、被害を少なくするなど、雑草の害を軽減するためのさまざまな方法が考えられています。

雑草を許容する

 農薬などとは違い、生態的防除では雑草をゼロにすることはできません。ですから、雑草を1本も許さないという日本の農業者に採用してもらうのは、簡単なことではありません。
 しかし、現在は無農薬・低農薬の作物が、高い商品価値を持つようになっています。少しの雑草を許容することで、農薬を減らし、労力や投資も少なくてすむ生態的防除は、大きな可能性を秘めています。


この学問が向いているかも 分子生態遺伝学

酪農学園大学
農食環境学群 循環農学類 教授
我妻 尚広 先生

メッセージ

 大学は教科書に載っていないことを学ぶ場です。世の中にはいろいろな考え方があり、答えがひとつとは限りません。研究にもさまざまな見解があり、意見が異なることもしばしばです。昨日まで正しいとされていたことが、今日は誤りだったとわかることさえあります。そうしたあいまいさや、断定できないことがあることを学んでほしいですね。また、酪農学園大学には日本各地から生徒が集まり、卒業後は再び故郷へ帰っていきます。言うなれば、日本中に人脈を持つことができるわけで、それはあなたにとって大きな財産となるはずです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

農業自営、教諭、農業改良普及員、官公庁産業振興、農協営農指導員、食品会社品質検査員、製薬会社技術者、農薬会社営業、種苗会社営業、ホームセンター販売員

大学アイコン
我妻 尚広 先生がいらっしゃる
酪農学園大学に関心を持ったら

 北海道の政治・経済の中心都市札幌から快速電車で10分、本学はそこに132haの広大なキャンパスを構えています。世界の人口が増幅を続ける中、40%前後の我が国の食料自給率は、今後ますます問題となるのは確実です。そうした環境下にあって、大地を健やかに育て、健康な食物を育み、それを食して健やかな人が育つ。こうした「循環と共生」をテーマに掲げながら、学生一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出せるような教育を実践することを使命と考えています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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