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講義No.02631

数学だけど、計算の必要はありません!?

「フェルマーの小定理」とは

 数学というと、どうしても、複雑な数式や方程式を解くための面倒な計算を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、数学研究の醍醐味のひとつは、「計算をする以前に計算結果を教えてくれる」方法の探求だと言うこともできるのです。例えば、17世紀の数学者フェルマーにより発見された「フェルマーの小定理」。この定理は、「pが素数、aがpで割り切れない整数なら、aの(p-1)乗から1を引いた数はpで割り切れる」と主張します。

巨大な数字の計算を一刀両断!

 「フェルマーの小定理」を特別な場合に考えてみましょう。例えばp=7、a=2の場合には、2の6乗から1を引いた数が7で割り切れるという主張です。このくらいなら簡単な計算でこの主張が成り立つことが確かめられます。でも、pやaがすごく大きな数の場合はどうでしょう。例えば、p=7177は素数であることがしられています。そこで、a=3456とすると、3456を7176乗して1を引いた数が7177で割り切れることが計算することなしにわかってしまうのです。

「数についての真理」の探究

 「3456の7176乗から1を引いた数が7177で割り切れる数である」ことが計算することなしにわかってしまうなんて、なんだか神秘的だとは思いませんか? 「フェルマーの小定理」は、整数や素数がもつ深遠な性質の一つを明らかにしたのです。この定理は、どんなに大きな素数、あるいはどんなに大きな整数にたいしてでも成り立つ「普遍的な真理」を表しています。こうして見ると、数学研究の最先端で探求されていることは実はきわめて哲学的であると感じられるのではないでしょうか。しかし一方では、それは現代社会のテクノロジーを支えるものでもあるのです。実際フェルマーの小定理は、現代ネット社会の安全を支える暗号理論で重要な役目を果たしているのです。

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この学問が向いているかも 数学

東京大学
大学院数理科学研究科  教授
齋藤 秀司 先生

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メッセージ

 数学の研究では日夜新しい真理を探究しています。そこでは、ある問題を解決するためにまったく新しい概念を作り出すこともあります。
 19世紀の数学者ガウスは、整数が持つある不思議な法則を証明するために整数を超越した新しい整数の概念「ガウスの整数」を作り出しました。整数についての問題を解くために整数の概念自体を変えてしまったのです! ピカソは「創造は破壊の集積である」といっています。
 それまで受け入れられてきた概念や常識を打ち破ってこそ初めて魂に響くような創造と発見が得られるのではないでしょうか。

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