インターネットを流れるデータは遅れる
インターネットを使用してデータの送受信を行う時には、どうしても遅延(遅れ)が発生してしまうのですが、どの程度遅れるか、最大値、最小値の揺らぎ範囲も想定することができないのです。そのため現在のインターネットのサービスはネットワークと言いながら、サーバからWebページとしてデータを送り出すWebサービスや、ビデオデータを送り出すストリーミングサービスなど、インタラクティブ性(双方向性)があまり高くない、一方的な情報提供を行うサービスが主流になっていると言えます。そんな中で、インターネットの有効利用範囲をさらに拡大するためにも、よりリアルタイムにネットワークで連携した、インタラクティブ性(双方向性)の高いサービスが求められてきているのです。
人間の知覚限界を知る
人間の視覚や聴覚といった知覚には「映像と音がずれている」と判断できる限界があります。この限界値をうまく使うことで、ネットワーク遅延を隠すことができます。具体的には、音声と映像のズレはプラス、マイナス80ミリセカンド程度では違和感を感じないと言われています。ビデオは1秒間に約30フレームなので、2フレーム程度のズレは気づかないということになります。ところがプラス、マイナス160ミリセカンドまで拡大すると、ほとんどの人がズレに気づき違和感を感じます。また、映像と触覚のズレについては、映像の方を40~80ミリセカンド程度早く表示した方が心地よく感じる人が多く、タイミングをぴったり同じにしてしまうと、かえって映像が遅れている印象を与えてしまうようです。また、触覚情報や動きをコンピュータに伝えるインターフェース装置は、1キロヘルツ(1秒間に1000回〉程度以上のデータのやりとりができないと、人間はスムーズな動きとして感じないようで、ビデオの30フレーム/秒に比べると非常に速い速度が必要になっています。