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講義No.01633

環境にやさしい熱電変換材料

温度差で発電する熱電変換材料

 熱を利用して発電するには、火力や原子力、地熱発電といった方法があります。これらはエネルギーを使って高温をつくり、水を蒸気とし、蒸気の圧力でタービンを回して発電しています。ところで、温度差があれば電位差(電圧)を発生させる熱電変換材料というものがあり、これは機械的に動く部品が全くありません。この熱電変換材料にもさまざまな種類があり、ビスマスとテルルの合金やシリコン・ゲルマニウム合金などがあります。この熱電変換材料は、無人惑星探査機「ボイジャー」にも使用されていました。「ボイジャー」は太陽から遠く離れた深宇宙まで探査に行くので、従来の太陽電池では十分な電力を確保できなかったのです。そこで、プルトニウムなどの放射性物質の崩壊熱を熱源とし、熱電変換材料で電気に換えていました。そのおかげで、ボイジャーは太陽光の届かない深宇宙から30年程度も観測データを地球に送り続けてきたのです。機械的な動作部分が全くないので、壊れない(寿命が長い)というのも熱電変換材料の大きな特長です。

安価で環境にもやさしいホイスラー化合物熱電材料

 従来の熱電変換材料にはビスマス・テルル合金というレアメタルを使っているので、高価な点や毒性がある点が問題でした。最近になって、鉄・バナジウム・アルミニウムからなるホイスラー化合物という熱電変換材料が開発されています。この合金はリサイクルもしやすく安全で、環境汚染も起こしません。エネルギー変換効率は、太陽電池で20~30%と言われていますが、熱電変換ではせいぜい10%程度で、これ以上はなかなか難しいのが現状です。それでも、大規模な施設、設備などは一切必要なく、温度差のあるところに取り付けるだけで手軽に電力を得ることができるのです。今後も廃棄される熱は増えていくと思われますが、この熱を回収して補助的な電力として使用するのであれば、安くて、安全で、省エネルギーになる熱電変換材料は、地球温暖化防止にも貢献する材料なのです。


この学問が向いているかも 工学部

名古屋工業大学
工学部 物理工学科 材料機能分野 教授
西野 洋一 先生

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メッセージ

 工業製品を作るには、さまざまな材料が必要ですが、材料工学の中で最終製品を直接生み出すことはありません。しかし、半導体産業にしても半導体という材料が発見されなければ産業として成立しなかったでしょう。新物質の発見、新材料の開発があってこそ、新しい応用製品が生まれてくるのです。エネルギー・環境問題に関心があり、“ものづくり”工学の根幹を成す領域を研究する、勉強するといったことに興味がある人は、ぜひ材料工学の分野に来て一緒に研究開発を行いましょう。

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 名古屋工業大学は、世界のものづくりの中心地である中京地区の工学リーダーとして、技術イノベーションと産業振興を牽引するにふさわしい高度で充実した教育研究体制を整備しています。さらに国内の工科系大学のみならず、世界の工科系大学と連携することにより、工科大学の世界拠点として、異分野との融合による新たな科学技術を創成し、有為の人材を数多く世に送り出そうとする構想をもっています。

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