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講義No.01189

人間の精神を分子の動きやエネルギーの問題としてとらえる

人間の思考や記憶に関与する神経細胞のつながり

 生命現象を生物を構成する分子のレベルで解明していこうとする分子生物学は、近年急速に進歩していますが、残念ながらまだ人間の思考や記憶のメカニズムを解明するには至っていません。しかし、脳の神経細胞のつながりが、脳の機能に大きく関与していることは解っています。
 脳には小脳と大脳があります。小脳は「つながりを切る」ことで制御するといわれています。小脳の神経細胞は、生まれたばかりの時はつながった状態になっていますが、「辛い」経験をすることでつながりを切り、人間の行動や思考を制限します。例えば、熱いものを触るとやけどをするという「痛み」の経験があるとつながりが切れ、そのような行動はしなくなります。一方、大脳は「つながる」ことで制御します。赤ちゃんが親に「ママ」と言うと親が喜び、幸せであることを経験すれば、積極的にその言葉を覚えるようになります。このような経験は、神経細胞がつながることで記憶され、同じ行動がとれるようになります。
 こうした人間の精神活動は、すべて神経細胞の形態変化に対応しています。神経細胞の一部を伸ばすことを促進したり、つながった状態を維持するように促すのは、嬉しいときに活性化する脳内麻薬と言われるドーパミンという物質であることはよく知られていますが、実際に、神経細胞の形態を変化させ、それを維持するのは細胞骨格という構造を作っているタンパク質です。

人間の精神活動は、物理で説明可能

 では、このような仕組みは実際にはいかにして行われるのでしょうか。人間の細胞は分子でできていますから、このメカニズム、分子の動きやエネルギーの問題、すなわち力学的な問題に置き換えることができます。つまり、数値を使った物理で精神活動を説明できるということです。物理学と精神は一見関係ないもののように見えますが、実は深い関係があると考えられています。まだ遠い将来の話ですが、心理学を物理で説明できる時が来るかもしれません。


この学問が向いているかも 生命情報工学系

九州工業大学
情報工学部 物理情報工学科 教授
安永 卓生 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 生命情報工学は新しい分野なだけに、将来の進路を心配する人もいるかもしれません。しかし、最先端の内容が多く将来性が期待されるため、最近では、企業も注目するようになってきました。また、学習する内容は、従来の分野にとどまることなく、多方面につながっています。ソフトウェア開発の学習は情報系の企業や金融関係、測定機器などの機械メーカーと、生物や遺伝子などに関する研究は食品メーカー、医療関係など、将来進める道は多岐にわたっています。いろいろな可能性の中から自分の将来を選択できる学問です。

先生の学問へのきっかけ

 小さい頃から、生命が「うごく」ことに惹かれました。高校に入り、原理から現象を説明できる物理の考え方が好きになり、理学部物理学科を選択しました。大学でさまざまな本との出会いや、多くの教授の話を聞く機会に恵まれ、「生物も、分子や化学、物理の言葉で論理的に説明できる可能性があること」を知り、今自分が考え、話をし、動いていることそのものが、化学反応や物理現象の集まりと考えるだけでワクワクしました。生物物理分野に出会い、電子顕微鏡とコンピュータを利用し、生命の働きを理解できることに感動を覚えました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学などでの研究者、計測分析機器メーカや電子機器開発メーカでの研究・開発者、情報通信企業やコンサルティング会社でのSE(システムエンジニア)・CE(カスタムエンジニア)など

大学アイコン
安永 卓生 先生がいらっしゃる
九州工業大学に関心を持ったら

 「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・ 技術となっています。九州工業大学情報工学部は1986年 に創設された日本初、現在も国立大学法人で唯一の情報工学部で、2016年に創設30周年を迎えました。知能情報工学科、電子情報工学科、システム創成情報工学科、機械情報工学科、生命情報工学科の5学科があり、情報工学の学びを軸としつつ、各学科の応用分野に対する教育研究を進めています。特に、教育システムは、全学科がJABEEに認定され、世界的に通用するものであることが保証されています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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