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講義No.01002

レーダーが遺跡を守る!

遺跡の危機!

 エジプトのナイル川は、毎年夏に多くの洪水を繰り返していました。1970年、アスワンハイダムの完成により、ナイルの水は一年中安定供給され、その水をポンプでくみ上げ、川から少し離れた場所でも農業地として開拓できるようになりました。その結果、“地下水の水位が上がる”目に見えない現象が起こり始めました。5000年以上前から乾燥していた土地の下に水が浸入し始めているのです。ナイル川周辺にはギザのピラミッドなど多くの古代遺跡があります。しかし、遺跡の横に立っても地下水を見ることはできません。

“リモートセンシング”がすべてを写し出す

 目に見えない地下水の動きを計測するには、地中レーダーを用いた「リモートセンシング」という技術を利用します。レーダーと言うと飛行場の管制室を思い浮かべるかもしれませんが、それを発展させた仕組みのものです。リモートセンシングとは、電波や光などのはね返りを用いて、遠く離れたところから対象に触れずに、その対象物の状態や性質を測定する技術のことです。例えば、レーダー技術を用いて一本の木を見てみると、電波が木の表面を通り抜け、幹や葉の水分の状態を映し出します。写真で表面撮影するのとは異なり、内部の健康状態がわかるのです。同様に地下水の量や動きを計測すると、地下水が人為的に動いている場所を調べることができ、「有効利用されている水の流れ」や「遺跡に影響を与える水の流れ」などを把握することができます。また、遺跡そのものをレーダー分析することも可能です。レーダーの計測結果を、時代背景や歴史学者の研究内容と照合すると、考古学の事実に裏づけができたり、少し違った見方ができたりもします。宇宙衛星からの電波を使うと、昼夜を問わず、雲の有無やシベリアやアマゾンなど広範囲の森林を正確に計測することもできます。レーダーは、資源開発のために利用するだけでなく、将来の森林開発や二酸化炭素削減の問題など、地球環境の保全を考え、実践していくために不可欠の先端技術なのです。

電波で見る地球環境、災害、遺跡、地雷

夢ナビライブ2015 仙台会場

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ナイル川の地下水を計測する

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反射波のイメージング信号処理

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電波の可視化でアンテナを設計する

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この学問が向いているかも 工学、環境科学、電磁気学

東北大学
工学部 機械知能・航空工学科 教授
佐藤 源之 先生

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メッセージ

 東北大学東北アジア研究センターは、ロシア、モンゴル、中国、韓国、日本など、アジア東北部に位置する国々を対象とする地域研究のためのセンターです。資源環境科学研究分野では、衛星からリモートセンシング技術を利用して地下水や森林などの自然環境の測定を行うほか、地中レーダーを利用して人道的地雷検知除去活動も行います。地球環境を広く計測することに興味があれば、“環境を守るためのより高度な技術”の研究・開発を通して社会貢献の機会が広がります。
 私たちの研究室には、工学部機械知能・航空工学科の学生が所属しています。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃、自分でラジコン飛行機を作って遊んでいました。そして、もっと自由自在に電波を扱うことができたら面白いだろうなと考えたことが現在の研究につながっています。自分で実験装置を組み上げ、それを使った現場での応用に興味があり、地雷や地下水、遺跡など、世界各地での問題に対応するような実験をしているうちに、研究の対象が広がっていきました。工学の研究でありながら地理、歴史、現代社会などと深く結びつくところに魅力を感じています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

卒業生の多くは電気関係の会社の研究職として、レーダー装置の開発に関わっています。彼らの中の数名は、次世代の日本の宇宙衛星に搭載するレーダー装置の開発の中心として活躍しています。

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佐藤 源之 先生がいらっしゃる
東北大学に関心を持ったら

 建学以来の伝統である「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げ、世界最高水準の研究・教育を創造しています。また、研究の成果を社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献して行きます。社会から知の拠点として人類社会への貢献を委託されている東北大学の教職員、学生、同窓生が一丸となって、「Challenge」、「Creation」、「Innovation」を合言葉として、価値ある研究・教育を創造して、世界の人々の期待に応えていきたいと考えます。

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