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講義No.00120

おいしいエビのための海洋微生物研究

えっ、エビに美白!?

 お弁当のおかずの必須アイテムとして無意識のうちにさがすほど日本人に愛され、親しまれてきたエビ、パック詰めされ店頭に並ぶそんなエビに、ある事実が隠されています。実はそのほとんどが、美白剤で処理されているのです。
 エビは水揚げされてから何も処理を施さなければ、数時間でドス黒く変色してしまいます。品質には特に影響しませんが、セリにかけたときに、見た目が悪いせいで思うような値段がつかないのです。特にエビ供給の中心となっている東南アジアでは、冷凍設備が十分に行き届いていないため、エビの黒変が大きな問題となっています。
 それで美白剤にお呼びがかかりました。人の肌のくすみやシミを取るだけが美白剤の役割ではありません。エビの黒変やりんごの切り口の変色の防止などにも利用されているのです。

海からの贈り物

 その種類にしても、あの著名な歌手のマイケル・ジャクソンが使用したと思われる“ゲキヤク”から、一般の化粧品や食品に混入されるものまで、数多くあります。現在、広く普及している美白物質は、漬物やお酒のコウジカビから発見されたコウジ酸や、植物のコケモモから発見されたアルブチンなどの陸上由来のものがほとんどです。このようなことから、海中の微生物から美白に役立つ物質を開発できないかという研究が開始されました。
 そして、ついに伊豆諸島新島沖の水深100mより採取した海洋性のカビから、これまでとは全く異なる美白成分が発見されました。車エビやりんごなどの生鮮食品で試してみると、なんと現在使われている物質以上に美白効果があることがわかりました。
 海洋微生物研究は、陸上の研究に比べるとはるかに立ち遅れています。これは、サンプルを取るために、簡単に外洋や深海にいけないためです。しかし、地球の全表面積の約7割を占める広大な海には、有用物質を作る未知の微生物がたくさん存在していて、我々の来訪を待ち構えています。幸い、東京海洋大学海洋科学部は4隻もの研究練習船を所有し、いつでも海洋に出かけることができますので、未知の海洋微生物を採集することは決して夢ではありません。あなたもこのような「海に住んでいる微生物からの宝さがし」に参加してみませんか? 今よりも、安全で効果のある化粧品や、さまざまな病気の治療の特効薬が見つかるかもしれません。

参考資料
1:エビ・リンゴ
2:ワイン・執筆本

この学問が向いているかも 微生物学

東京海洋大学
海洋生命科学部 海洋生物資源学科 教授
今田 千秋 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 本文を読んでいただいて、少しは東京海洋大学に興味を持っていただけましたか? 本学は日本で唯一の海洋系の総合大学です。本学は海の微生物以外にもプランクトンや魚介類、海産哺乳類や海藻などさまざまな海の生き物、海洋環境の諸問題や水産食品などを幅広く学べます。皆さんはこれから志望校を決定されることと存じますが、ぜひ本学もその選択肢の一つに加えていただきたいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 これまでたくさんの微生物を海洋から集めてきました。その中には人の生活に使えそうなものもたくさん含まれています。このような微生物を世の中に役立てたいと思ったのが、研究を始めた動機です。今よりもっと安全で、綺麗になれるかもしれない化粧品や、さまざまな病気の治療の特効薬に応用できる微生物を見つけたいと日々情熱を持って研究しています。
 海の微生物の研究は、陸に比べるとはるかに遅れています。これは簡単に外洋や深海には行けないためです。しかし、地球の全表面積の約7割を占める広大な海は、未知の微生物の宝庫です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁水産職/高等学校(水産)教員/研究機関技術者/化粧品会社研究員/食品原料製造会社技術者/水族館飼育員など

大学アイコン
今田 千秋 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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