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講義No.00116

高校で習う倫理社会と大学で学ぶ哲学の違い

これは何? が出発点

 高校の「倫理」では、さまざまな思想家の考え方をざっと学びますが、これって「哲学」の勉強なのでは? いったい「倫理学」と「哲学」ってどう違うの? と思ったことがある人もいるでしょう。
 少々乱暴に表現すれば「これは何だろう?」と思ったら、それはすべて哲学です。有名な哲学者・ソクラテスは、「無知の知」という言葉を残しました。現代人にも通じることですが、多くの人は、何事も知っているものとして深く考えることをしない傾向にあります。知らないということを自覚しよう、ここから哲学は始まったのです。
 例えば、目の前の机を、誰もが机であるということは認識しますし、調べれば材質やメーカーなどはわかります。たいていそれで机についてわかった気になります。しかし、「なぜ机として存在しているのか」ということには、ほとんど誰も目を向けないでしょう。存在の意味について突き詰めて考えることは、ばかばかしく実生活に役立たないと思うかもしれませんが、あれこれ考えることで、自分とは違う考えを認める手助けになるはずです。

倫理学は生き方を問う学問

 それに対して「倫理学」は、もう少し実践的です。人間と人間の関係性や、どう生きたらいいのかということを考える学問なのです。最近、真剣に向きあうべき例としては、「産む、育てる」といった生命倫理問題でしょうか。今までは本能に従って人は産まれてくるものだと認識されていましたが、人工授精や代理母などの登場で、改めて人が人を存在させるという行為について意識的に考えなければいけない時代になったのです。
 今、日本はあらゆるものが簡略化されています。「Aの解決にはBが必要」と、効率重視の目的合理性が優先される社会なので、「BのほかにCも検討してDの解決策を見出そう」という柔軟で創造的な人間的合理性が切り捨てられがちなのです。倫理学は、人間的合理性を考える学問なので、社会の暴走を止め、社会に対して人間らしい新しい方向性を提案することが期待されます。


この学問が向いているかも 情報学、情報社会学

静岡大学
情報学部 情報社会学科 教授
吉田 寛 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 情報学は、デザイン志向の学際的な学問です。情報社会学では、哲学や倫理学のほか、政治学、経済学、法学、文化研究などの人文社会系の知識をベースに、ロボットやゲーム、情報システムを利用した社会や組織をデザインします。特徴的なのは、人文社会系の教員であれば、情報科学やコンピュータ工学専門の教員と協力して、文工融合の授業と研究を展開していることです。情報学は大きな可能性のある、新しい分野です。

先生の学問へのきっかけ

 私は自然の中で遊び回る少年でした。1970年代になって地域が開発される中で地球環境の問題を知り『風の谷のナウシカ』などを見て、自然と科学技術の関係に疑問を持ちます。その疑問を追究するため、北海道の大学に進学しました。北海道ではスキー板やストックがないと雪の上さえ歩けず「人間は技術や道具がないと存在できない」と痛感しました。その後、京都の大学で学び、現在は静岡大学で、哲学や倫理学の視点から情報や技術、社会をとらえる研究をしています。情報社会、科学技術社会だからこそ今、哲学や倫理が注目されています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

自治体文化政策/通信・エネルギーなどインフラ企業ITエンジニア/大学など研究教育機関社会情報学研究者

大学アイコン
吉田 寛 先生がいらっしゃる
静岡大学に関心を持ったら

 静岡大学は、6学部19学科と全学横断型教育プログラム「地域創造学環」を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学のビジョンは「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。

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