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講義No.00077

都市伝説が実は法律の代わりをしていた室町時代

なぜ室町時代だけ怪奇現象が数多く起こったのか

 火の玉が飛び回っていたとか、光の柱がぶっ倒れたとか、室町時代の貴族の日記には「光り物」と呼ばれる怪奇現象が数多く記録されています。ところが江戸時代になると、そんな都市伝説はぴたっと止みます。もちろん四谷怪談など恐い話はありますが、これはあくまでもエンターテインメントで、江戸以前のように、怪奇現象に人々があわてふためくことはありません。
 日本の歴史は応仁の乱でいったん途切れた、あるいは身分や土地の所有者が確定した太閤検地で社会秩序が固まったと、古くから言われてきました。怪奇現象が断絶するのも、やはり同じ室町と江戸の境目です。この二つの時代では何が大きく変わったのでしょうか。

社会秩序を維持する原則が変わった

 室町、江戸のそれぞれの社会を比べたとき、もっとも大きく違うのは秩序体制です。幕府が全国を統一し、朝廷と寺社勢力をその支配下に置いた江戸以降に対し、室町は混沌の時代と言えます。幕府はあったけれどもその力は弱く、秩序維持のため寺院の力を借りることもたびたびでした。室町時代の京都と言えば日本最大の都市です。各地からさまざまな人がいつも流れ込んでいて治安が悪く、その中で幕府と朝廷、そして寺院がお互いに勢力争いをしたり、時に利用し合ったりしていたのです。
 そこで怪奇現象は秩序維持のための一つのシステムとして使われていました。例えば、寺が怪奇現象の噂をながし、貴族にも都市民にも、もっと参詣してお布施を出せと迫ったり、また都市を襲う伝染病を鎮めるためのお祭りが行われるときには、将軍が出向き、見物する都市民に権力を見せつけたり、そんなことが繰り返されています。つまり各勢力がお互いにいわば持ちつ持たれつの関係にあり、その関係のつなぎ役として怪奇現象が使われていたのです。
 ところが江戸に入ると圧倒的に強くなった幕府が、寺を厳しく取り締まるようになりました。「怪奇現象があった」と叫んでも、もう何の役にも立たなくなったのです。

都市は何を生み出すか

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京都大学
法学部  准教授
高谷 知佳 先生

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メッセージ

 「明治維新は日本の歴史の最大の転換点だった」「室町時代は侘び寂びの文化が栄えた」。高校ではこのように歴史を事実として学びます。これに対して、大学では、本当にそうなのか問い直すのです。歴史や社会は、いろいろな視点からさまざまな切り取り方ができるはずです。大切なのは、その視点の長所と短所を自覚すること。過去の人々が、どの視点からどんな面白いものを見てきたのか、あるいは見失ってしまったのか。そして自分はどの視点を選び、何を見つめたいのか。大学に入ったら、心ひかれるものをたくさん見てください。

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 京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎にして基本理念を定めています。研究面では、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行います。教育面では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成します。

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