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口の細胞を使って傷んだ靭帯を再生させよう

関心ワード
  • 歯槽膿漏 、
  • スポーツ 、
  • 靱帯(じんたい) 、
  • 歯 、
  • 細胞 、
  • アスリート 、
  • 治療 、
  • 遺伝子 、
  • 血液

講義No.g004104

口の中の研究が、スポーツ選手の選手生命を伸ばす!?

歯槽膿漏の治癒が、じん帯再生につながる

 あなたは口の中にも「じん帯」が存在することを知っていますか? じん帯と言えばスポーツ選手の肘や膝などのケガでよく耳にし、損傷すると選手生命を左右するほどの影響を及ぼす、いわばアスリートの生命線です。じん帯は完全には再生しない組織です。その理由は周辺に血管があまり通っておらず、回復に必要な栄養が行き届かないためです。
 ほとんど知られていませんが、あごの骨と歯の間にも歯周じん帯というものが存在し、クッションのような役目を果たしています。この歯周じん帯の損傷により引き起こされるのが歯槽膿漏です。今この歯槽膿漏の、言い換えればじん帯の治癒についての研究が進められています。

血液を行き渡らせることで自然治癒を促進

 じん帯の治癒で最も大事なのは、組織のまわりに血液を巡らせることです。血液は治癒に必要な栄養を供給したり、その組織を作ってくれる細胞を損傷した部位に届けたりなど、非常に重要な役割を担っています。またさまざまな組織の源となる未分化細胞が体のいたるところに眠っていることも徐々に判明してきました。それがどのような条件下で血管をはじめとする治癒に必要な組織になるか、あるいはどうすればその細胞の数が増加するかなど、現在遺伝子レベルでの研究が進んでいます。

将来は、じん帯移植手術が不要になる?

 ヒトの遺伝子は約2~3万個あり、その中から、おそらく数個というじん帯に血液を巡らす遺伝子を見つける調査が現在も進められていますが、言うまでもなく一朝一夕に成果を挙げられるものではありません。しかし、この調査が進めば、現在のじん帯損傷の対処法である移植手術が将来は不要になる可能性があります。
 口の中の研究が進むことでじん帯の治癒が可能になり、その治療法を活用することで選手生命が長くなる日はそう遠くないのかもしれません。口の中とアスリートの選手生命、一見まったく関係ないようで、実は密接な関わりがあるのです。

参考資料
1:お口の中のじん帯細胞が血管をつくる様子
この学問が向いているかも 歯学、再生医学

岩手医科大学
歯学部 歯学科 教授
石崎 明 先生

メッセージ

 「なぜだろう?」と感じたことや、興味が湧いたことはとことん調べてみてください。私へのメールなどでの質問も大歓迎ですし、直接話をするなどして、自分ができる限りの手助けをしたいと思っています。大事なのはいろいろな方向性を模索してみることです。高校生くらいの年代では本当に自分のやりたいことがわからない場合もあると思いますが、理系・文系を問わず、全体を見渡すことであなた自身が進みたい道が見えてくるのではないでしょうか。

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石崎 明 先生がいらっしゃる
岩手医科大学に関心を持ったら

 明治30(1897)年の私立岩手医学講習所を前身とし、以来120年以上「医療人たる前に誠の人間たれ」を建学の精神として、医師7,000余名、歯科医師3,000余名、薬剤師600余命を全国に送り出してきました。2017年の看護学部開設に伴い、医・歯・薬・看護学部の4学部が同一キャンパスに揃う医療系総合大学とし、学部・講座の垣根を越えた密接な連携による教育・研究を行っています。チーム医療教育の強化により、「病気を診るのではなく、『人』を診ることのできる」深い人間性を備えた医療人の育成を目指します。