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ミトコンドリア・イブ
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ミトコンドリア
講義No.g007114
すべての源はここから! ミトコンドリアから探る3つのルーツ
地球上の「生命のルーツ」、ミトコンドリア
ミトコンドリアは、地球上の多くの生物の細胞内に含まれている器官です。例えば人間の細胞内には、1つにつき1000から2000ものミトコンドリアが含まれていて、エネルギーを作り出す重要な役割を担っています。 ミトコンドリアは、かつて好気性バクテリアであったと考えられています。約16億年前、極限環境でも生きられる強靭(きょうじん)さを持つ古細菌(アーキア)がミトコンドリアの原形のバクテリアを取り込み、それが発生する活性酸素から染色体を守る核膜を持つ真核生物(ユーカリア)が生まれ、多細胞生物へと進化しました。ミトコンドリアは、地球上の生命のルーツなのです。
「人間のルーツ」をたどる手がかり
ミトコンドリアは、それ自体が独自のDNAを持っています。ミトコンドリアDNAは母親側の情報だけが子孫に伝わる母系遺伝であるため、その情報をさかのぼっていくと、人間の場合、約16万年前にアフリカにいた一人の女性(ミトコンドリア・イブ)が持っていたミトコンドリアDNAの情報を、現在の地球上の人間全員が今も共通して持っていることがわかりました。ミトコンドリアは、私たち人間のルーツを指し示す手がかりでもあるのです。
「病気のルーツ」にもなってしまうミトコンドリア
ミトコンドリアは生命活動の維持のために大切な働きをしていますが、劣化してその機能が悪くなると、細胞にとって有害な活性酸素を過剰にまき散らすようになります。活性酸素は遺伝子やたんぱく質を破壊し、がんやアルツハイマー病、パーキンソン病、心不全など、さまざまな病気を引き起こす原因となります。病気のルーツにもなってしまうミトコンドリアですが、最近になって、劣化したミトコンドリアを排除して機能を改善する酵素(MITOL)が発見されています。その役割を解明すると、ミトコンドリアの機能不全を予防する新しい薬の開発につなげられるのではないかと期待されています。