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講義No.g004099
人間の巧みな動きを力学的に解明してロボットに生かす
力学的にとても理に適っている人間の動き
モーターなどは一切付いていないのに、坂道を歩いて下りるオモチャがあります。その重力に任せただけの自然な動きが、実は人間にとてもよく似ています。ぎこちなさのないスムーズな動き方というのは、力学の理に適(かな)っているのです。体操の選手などは、信じられないような技を繰り広げます。彼らも地球環境の重力の作用する空間の中で動いているわけで、うまく力学を応用しながら身体を動かしているのです。また合気道などでも、自分の力をほとんど使わず相手の力をうまく使います。その動きを力学的に見れば、作用・反作用やモーメントを活用していることがわかります。
人間にできてロボットにできない動き
人間の動きの素晴らしさを解明することは、ロボット工学の重要な課題です。例えばASIMOなどの人型ロボットは、歩くときに膝を曲げ、腰を落として歩き、止まっているときも膝を曲げたままです。
人間は膝をまっすぐ伸ばして立ちますが、ロボットは、この姿勢を取ることができません。なぜなら膝を伸ばす姿勢は、ロボットにとって特異姿勢、つまりそれ以上の動きができなくなる姿勢となるからです。一方人間にとっては、じっと立っているときに膝を曲げているより足を伸ばしている方が楽です。逆に言えば、人間は特異姿勢をうまく活用して楽に立っているのです。このような人間の理に適った動きをロボットに活用することが、今後の研究課題です。
人間の動きをロボットに生かす
大車輪という鉄棒の技をロボットに再現させるにはどうすればいいでしょうか。まず力学的に運動方程式を立てて、運動を理解します。その結果に基づいて、物理法則をうまく使ってロボットを制御すれば、大車輪をした上で宙返りして着地させることができます。このように人間にしかできない動きを力学的に解明して、ロボットに生かすことも重要な研究テーマです。また、最近はロボット自身が練習を積み重ねて、人間と同じように失敗を繰り返しながら技を獲得していく学習の研究も進んでいます。