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講義No.g007774
総合診療医とは何か? ~医療の現場から~
めまいがしたら、何科で診てもらう?
「なんとなく体の調子が悪いから病院で診てもらいたいけど、何科に行けばいいのかわからない」ということは、ありませんか? 病院は専門の診療科目に分かれています。例えば「めまいがする」という症状なら、脳神経外科へ行けばいいのか、耳鼻科に行くべきか、それとも内科でいいのか、患者さんは迷います。
また高齢になると、患者さん1人が抱える症状は眼科、整形外科、内科、循環器科など複数の診療科目にわたるので、全部を日常的に受診するのは大変です。現在の医療・医学で使われている科目分けは、患者さんのニーズに合っているでしょうか?
病気主体ではなく、患者さん主体の診療を
そこで広まってきたのが「総合診療」という医療の考え方です。症状があるが、どこの何の病気かわからない患者さんを総合病院の「総合診療科」で診療したり、プライマリ・ケアの現場でよくみられる風邪・インフルエンザ・ケガなどの症状を診療所で幅広く診療したり、高齢者が訴えるさまざまな症状に訪問医療でトータルに対応したりといった「総合的な診療」を行うのが総合診療医です。総合診療医は、「この病気なら任せとけ!」という臓器別の専門医とは違い、「あなたの病気なら任せとけ!」という患者さん主体の立場で医療を行います。特定の臓器の専門的治療が必要な場合は、最適な臓器別専門医へとつなぎます。
アメーバのように柔軟に現場対応
また総合診療医は、ケガや病気、精神的な疾患など、さまざまな症状が発生する災害の現場でも活躍します。まるでアメーバのように柔軟に形を変えながら、その場のニーズに対応するのも総合診療医の役割です。その本質は、患者さんが抱えるすべての問題に向き合い、今できるベストの選択をすることです。
患者さんの症状だけでなく、その人の心理や社会的な環境までも含めて診療します。つまり、心臓外科医や精神科医のように「器官や病気の専門医」ではなく、総合診療医は「あなたの専門医」なのです。