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大阪大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 心理学、
  • 美、
  • 顔、
  • 化粧(メーク・コスメ)、
  • 脳、
  • 女性、
  • 視覚、
  • 知覚、
  • 魅力、
  • 男性、
  • 数値化、
  • 目・眼、
  • 錯視

化粧効果の数値化は新たなメイク理論につながるか?

化粧は観察者の脳の中で効果を発揮する

 多くの女性の永遠のテーマである「美の追究」。化粧をする理由は、自分の魅力をアップさせるためと言えるでしょう。化粧は製品であり、技術であり、文化でもありますが、化粧の本質は、化粧をした顔を見る観察者の脳の中で効果を発揮するものです。「観察者からどう見えるか」「観察者の視覚に働きかける化粧とはどのようなものか」などの疑問を、実験や質問紙調査などで検証する心理学的アプローチがあります。化粧で顔が変わって見える錯視のメカニズムや心の仕組みを、数値データによって解き明かします。

性別による違いも

 大学と化粧品メーカーとの共同研究で、アイラインとマスカラの強弱を変えた20種類のアイメイクを比較し、目の大きさの錯視効果を検証しました。「どんなメイクで目が一番大きく見えるのか」ということや、「マスカラをしているときにアイラインを引いても、目の大きさの錯視効果に大差はない」という意外なこともわかりました。こうした実験によって望む効果に対するベストな化粧品の組み合わせがわかります。また別の実験では、素顔とアイメイクした顔を並べて、60~70cmの近距離で男女の参加者に見せたところ、知覚される目の大きさの錯視効果は男女で変わりませんでした。しかし、見る距離を5mにすると、女性は錯視量が近距離で見た場合と変わらないのに対して、男性は錯視量が倍増しました。男性は遠目メイクに魅惑されやすいと言えそうです。
 人間は社会的な動物なので、他人の顔を識別しないと生きていけません。人間の脳は、顔の微妙な違いを識別するよう、顔に対しての感覚が敏感にできており、その敏感さゆえに化粧の大きな効果が生じるのです。

日本らしい化粧の進化

 日本では、微妙な陰影や色の組み合わせなど、日本人の繊細な感性にマッチした化粧品が開発されてきました。化粧効果の定量的研究は、化粧方法や化粧品の色、アイテムの組み合わせ次第で無限に広がります。実験結果をベースにした「最高のメイク」が生まれる日も遠くないでしょう。

参考資料
1:化粧錯視の図

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この学問が向いているかも 認知心理学


人間科学部  教授
森川 和則

メッセージ

 あなたが一番興味のある学問分野に進んでください。噂だけを参考にしてよく調べず進学先を決めると期待外れになることもあるので、関心のある分野の先生が執筆された本などを読み、どういった学問なのかを正確に把握したうえで、専攻する分野を決めてほしいと思います。
 それが心理学なら、文系と理系の中間に位置する分野なので、文系にも理系にも興味のある人に適しています。「人間の心の働きに関してきっちりと結論を出したい」、「証拠を見つけたい」という志向が強い人が心理学に向いていると思います。

先生の学問へのきっかけ

 「人間の心の仕組みを科学的に明らかにしたい」「客観的な証拠によって結論を出したい」という思いが強く、心理学の道に進みました。人間は目で見たものをどのように認識したり記憶したりするかという認知心理学の分野で、「顔の認知・認識」と「目の錯覚」を別々に研究していましたが、ある時、学生から化粧の研究がしたいと言われたこともきっかけになり、現在は錯視を化粧研究に取り入れ、顔の認知・認識と錯視を一つに融合した研究を行っています。研究はどういう方向へ進むか予想がつきませんが、そこが面白いところだと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

人間を客観的に観察し、行動を科学的に分析する教育を受けていますので、ビジネス・行政・教育など、どのような分野でも進めます。民間企業に就職した人が多いですが、市役所や県庁など公務員、高校教員、大学院に進んで研究者になった人もいます。

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