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大阪大学の教員によるミニ講義

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歩容認証システム~歩く姿で個人を認証、新たな科学捜査の方法~

人の歩き方の個性=「歩容」を使った生体認証

 身体の一部から個人を識別する技術をバイオメトリクス(生体認証)と言います。よく知られているのはDNAや指紋、顔などを基に個人を認証するもので、これらは生まれ持って変わらない、静的特徴と言われます。対して、筆跡や音声など年齢や生活習慣によって変わるものは動的特徴とされ、ここで紹介する人の歩き方を指す「歩容(ほよう)」もこれにあたり、姿勢や歩幅、腕の振り、動きの左右非対称性などの歩き方の個性を使った生体認証が歩容認証です。

遠隔画像からも認証可能

 歩容認証は、1枚の画像やパターンで判断する顔や指紋と違い、歩行の動画を使います。数ある歩容認証の中でも、日本で生まれた方法は、まず動画から背景を抜いてシルエットを作り出し、あたかも静止しているような画を並べます。まるでパラパラ漫画のようです。その動画に対して、独自に開発した「周波数解析」などを用いて映像を数値的情報に変換していきます。この技術と世界最大規模の歩容データベースを使った認証精度は94%で、世界最高レベルの性能です。
 歩容認証の特徴は、遠隔から識別できる唯一の生体認証技術であるということです。例えば、DNA鑑定なら血液の採取、指紋照合はセンサーへの接触が必要ですが、歩容認証は最近のカメラの解像度ならば50メートル位離れた画像でも可能となるのです。

犯罪捜査への応用

 この技術に対してまず期待が寄せられたのが、犯罪捜査への応用です。防犯カメラによって得られた犯行現場の映像と容疑者の秘匿撮影映像を比べて本人性を判定するなど、捜査の有力な情報として役立てるのです。
 日本では、2009年に犯罪捜査の有力情報として初めて活用され(世界では2番目)、2013年には鑑定ソフトウエアが開発されました。これは警察庁の科学警察研究所へ提供され、職員研修も行われています。また、2014年の「警察白書」にも初めて記載されるなど、新たな科学捜査方法として注目されています。

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この学問が向いているかも 画像処理、パターン認識、人工知能


産業科学研究所/基礎工学部 情報科学科  教授
八木 康史

メッセージ

 コンピュータビジョンは情報工学の一分野で、ロボットなどの機械の視覚機能の研究を指しますが、私はその中の歩容認証の研究をしています。この技術には、犯罪捜査をはじめ、徘徊する老人や迷子を見つける、マーケティングに利用するなどいろいろな目的に使うことができる可能性があります。われわれの技術の認証精度やデータベースは現在、世界最高レベルにありますが、より安全、安心に暮らせる社会をつくるために、難しい問題設定に取り組み続けています。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃、『鉄腕アトム』にあこがれ、大学時代はロボットに搭載するコンピュータビジョンの研究をしていました。ロボットがいろいろな場所を動き回るために広い視野を持たせようと、パノラマ撮影ができる全方位カメラを作っていたのです。その全方位カメラが、安心・安全な社会を実現する監視システムに応用できるのではと考えたことが、今の「歩容認証システム」の研究につながりました。当時、この分野は海外が先行していましたが、目的意識を持って研究を続けることで、世界トップクラスのシステムを実現することができたのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

IT・電機・自動車・精密機器メーカー研究者/大学教員

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