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大阪大学の教員によるミニ講義

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バイオテクノロジーの技術で微生物の力を引き出す

ペニシリンから始まった微生物の探索

 イギリスの細菌学者・フレミングが青カビから発見したペニシリンは、世界初の抗生物質として、第二次世界大戦で多くの負傷兵を感染症から救いました。これをきっかけに、カビなどの微生物から人間の役に立つ物質を探そうという動きが世界的に広まったのです。このような微生物の探索では、日本も世界に貢献しています。例えば、川で発生するブユによって感染し、重症化すると失明の恐れがあるという熱帯病「オンコセルカ症」の特効薬として威力を発揮する「イベルメクチン」は、日本人の手によって発見されました。

役立つ物質の約7割は放線菌から発見

 イベルメクチンは、「放線菌(ほうせんきん)」と呼ばれる土壌にすむ微生物の一種からつくられました。これまでに発見された抗生物質など人間の役に立つ化合物のなんと約7割が、放線菌から発見されたものなのです。土の中では湿気や寒暖の差など環境の変化にさらされるので、それに対応するために、放線菌はさまざまな化合物をつくる能力を身につけたのでしょう。

物質生産のカギを握る放線菌ホルモン

 放線菌に化合物をつくるように指令を出す「放線菌ホルモン」と呼ばれる物質があります。役立つ化合物を薬として世に出すためには大量生産が不可欠なので、この放線菌ホルモンの働きを分子レベルでコントロールして、効率よく化合物を生産しようという研究が進められています。
 しかし、放線菌ホルモンの働きはとても複雑で、人間がコントロールするのは簡単ではありません。放線菌が化合物を一定量つくると、つくりすぎないように抑制する仕組みが働いてしまうのです。そもそも、化合物をつくるときにはエネルギーをたくさん使うため、放線菌にしてみれば、必要以上につくる理由はありません。ですから、物質をたくさんつくらせるには、放線菌ホルモンがどのように信号を伝達し化合物の生産を調整しているのかを突きとめて、バイオテクノロジーの技術で巧妙な「仕掛け」を施す必要があるのです。

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この学問が向いているかも 分子微生物学


工学部 応用自然科学科(生物工学国際交流センター) 教授
仁平 卓也

メッセージ

 大阪大学生物工学国際交流センターでは、バイオテクノロジーの分野で、東南アジア各国と協力しながら研究を進めています。私の専門分野である「分子微生物学」の研究は、実験室で遺伝子操作を行うこともあれば、フィールドに出かけて微生物を探すこともあります。柔軟な思考力と体力が必要なしんどい世界ですが、そのぶん役に立つ物質を見つけたときには、大きな喜びがあります。自然界の生物は、私たちの想像を超えた魅力的な物質をもたらしてくれます。好奇心を持ってあきらめずにチャレンジできる人を待っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社/食品会社/化粧品会社/化成品会社 ほか

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