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大阪大学の教員によるミニ講義

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無形文化遺産・和食を支える「カビ」に秘められたパワー

世界に誇る日本の食文化

 2013年12月、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。海や山に囲まれた豊かな自然の中で育まれる四季折々の食材を生かし、ヘルシーで見た目も美しく、地域文化とも密接に関わる日本の伝統的な食事が、世界に評価されたのです。その和食の味の決め手である「うまみ」をもたらすのが、調味料の醤油や味噌、日本酒などです。これらの食品は、「ニホンコウジカビ(学名:アスペルギルス・オリゼ)」という微生物の働きによってつくられています。

微生物が働きやすい環境をつくる

 ニホンコウジカビは、細胞核を持つ「糸状菌(しじょうきん)」という菌類の一種で、「国菌」と称されるほど古くから日本の食文化を支えてきました。
 味噌はニホンコウジカビと乳酸菌、日本酒はニホンコウジカビと酵母という、2種類の微生物が原料となる大豆や米を発酵させます。大豆や米に含まれるタンパク質や炭水化物を、まずニホンコウジカビがアミノ酸やブドウ糖に分解し、乳酸菌や酵母が発酵しやすい環境をつくります。つまりニホンコウジカビは、微生物の働きを助ける微生物というわけです。

薬の生産性を高める

 またカビは、薬になる化合物(抗生物質)をつくることでも知られています。最先端の研究により、この分野でもニホンコウジカビが活躍することがわかりました。例えば、「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」と呼ばれるカビがあります。これは冬場に昆虫の体内に入り込み、夏に昆虫が死ぬと菌糸が体外に生える様子が草に似ていることから、この名がついています。千年以上前から漢方薬として重宝されていますが、貴重かつ高価なため、人工的に培養する方法が研究されてきました。この冬虫夏草の遺伝子をニホンコウジカビに入れると、化合物を効率よくつくることがわかったのです。ニホンコウジカビを遺伝子の「入れ物」として使うことで、抗生物質のような、人に役立つ物質の生産性を高めることもできるのです。

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この学問が向いているかも 分子微生物学


工学部 応用自然科学科(生物工学国際交流センター) 教授
仁平 卓也

メッセージ

 大阪大学生物工学国際交流センターでは、バイオテクノロジーの分野で、東南アジア各国と協力しながら研究を進めています。私の専門分野である「分子微生物学」の研究は、実験室で遺伝子操作を行うこともあれば、フィールドに出かけて微生物を探すこともあります。柔軟な思考力と体力が必要なしんどい世界ですが、そのぶん役に立つ物質を見つけたときには、大きな喜びがあります。自然界の生物は、私たちの想像を超えた魅力的な物質をもたらしてくれます。好奇心を持ってあきらめずにチャレンジできる人を待っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社/食品会社/化粧品会社/化成品会社 ほか

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