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大阪大学の教員によるミニ講義

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草創期のピアノは現代のピアノと同じ音がするだろうか

モーツァルトの時代と現代のピアノ

 ピアノは、300年ほど前の18世紀にヨーロッパでできた楽器です。当初「フォルテピアノ」と呼ばれたこの楽器は、オルガンやチェンバロなどの鍵盤楽器が息づく伝統の中で生まれました。鉄骨のフレームが入った現代の「黒く」「大きく」「重い」ピアノとは違い、ほとんどが木でできていて脚も細く、華奢な姿をしていました。例えば、18世紀後半に活躍したモーツァルトは、そのようなピアノで演奏されることをイメージし作曲していたわけです。当然同じピアノソナタでも、鍵盤のタッチも発せられる響きも現代のピアノとは違っています。

コンサートスタイルを変えたピアノの登場

 初期のピアノは、鍵盤の数が5オクターブと現代の7オクターブ半より少ないものでした。モーツァルトらは今より狭い音域で曲をつくっていたのです。これを理解したうえで曲を聴くと、作曲家が限られた鍵盤をいかに効果的に使っていたかがわかるはずです。
 またピアノの登場は、コンサートスタイルを大きく変えました。当時クラシック音楽のコンサートでは複数の演奏家が曲を演奏するのが主流でしたが、優れたピアニストとして知られるリストが初めてリサイタル(独演会)を開いたのです。また今や当たり前の、ピアノを客席から見て右向きに置くスタイルは、近代に生まれました。

音楽を通して人間を探究する

 改めてピアノという楽器を見てみると、バイオリンや管楽器などとは違い、あらかじめ鍵盤として決められた音を組み合わせて演奏する風変わりな仕組みを持っていることに気づきます。一人の奏者が10本の指で何役もこなせる一方で、微分音(半音より狭い音程)は出せないので、ある意味不自由な楽器とも言えます。
 ピアノはいかにして生まれたのか、歴史を紐解くことで、この楽器を作り出したヨーロッパの人々の発想や文化を考えるのも、興味深いテーマでしょう。音楽を通して人間の本質を探究する音楽学の一つの醍醐味だと言えます。

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文学部 人文学科 音楽学・演劇学専修 教授
伊東 信宏

先生の著書
メッセージ

 大阪大学音楽学研究室は、全国でも珍しい文学部の中で音楽を対象とする研究室です。ここで学ぶ条件は、「楽器が弾けること」ではなく、ただ「音楽に関心があること」だけでよいのです。あなたが周囲の人に「音楽の道に進みたい」と告げると、「もっと役に立つことをしなさい」と忠告されるかもしれませんが、気にしなくていいです。音楽を入り口に人間について考える音楽学は、とても奥行きのある学問です。私自身この道に進んだことを一度も後悔したことはありません。「音楽について考えたい」という気持ちをぜひ大切にしてください。

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