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大阪大学の教員によるミニ講義

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インスピレーションに頼らず薬を作る「逆合成」の考え方

化合物Cを作る方法は二通り

 化学反応には二つのケースがあります。例えば、物質Aと物質Bで化学反応を起こして化合物Cを作るとき、AとBからダイレクトにCができる場合と、A+BからXができ、そのXがさらに変化してCができる場合です。この場合のXを「中間体」と呼びます。
 Xは活性で、化学反応を起こしやすい状態なので、そこに何か別の試薬を加えれば、CではなくDやEなど別の物質を作り出すことも可能です。またこのような中間体は、ごく短時間でほかの物質へと変化するため、化学反応の途中段階でそれだけを取り出すのは難しいのですが、その存在は確認されています。

化学反応を理論的に考えて作り出す

 実は、化合物作りは芸術に例えられることがあります。その理由は、ある化合物を作り出すための化学反応に使う物質選びを、インスピレーションに頼ることが多かったからです。Aに何を加えればCができるのか、どんな中間体ができているのか、やってみないとよくわからなかったのです。
 これに対して、目的とする化合物Cから一つ前の段階を理論的に考え、さらにその前段階へと順をたどっていくやり方を「逆合成」と呼びます。これにより最終的にCを作り出すためのより安価で効率的な方法を見つけることができます。

自然界にある化合物を人工的に作る

 薬にする化合物は、もとは自然界にある天然物を使いました。しかし自然界にあるままでは、量が少なかったり、純度が低く何回も精製しなければならなかったり、使い勝手が良くないことがあります。天然物と同じ成分を、化学反応によって人工的に作り出すことができれば、安価な医薬品を大量に作ることができます。ここで役立つのが逆合成の考え方です。化学反応のプロセスを論理的に解析し、各プロセスで重要な役割を果たしている活性中間体を制御することで、反応プロセス全体を短縮化し、効率良く化学反応を起こさせることができるのです。

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この学問が向いているかも 有機合成化学


薬学部  教授
藤岡 弘道

メッセージ

 「一芸に秀でるものは多芸に通ず」という諺が示すように、何か一つのことを極めれば、その応用力は大きく広がります。ぜひ一度、自分で何かテーマを設定し、背景について情報を集めて、自分なりの考えをまとめてみてください。こうした訓練が知恵を育むのです。知恵とは、手持ちの知識を組み合わせて、物事に対処する力です。大学での学びは、知識を集めることではなく知恵を磨くことです。自分で限界を決めず、いろいろな対象に関心を持ち、知恵を磨くトレーニングを心がけてほしいと思います。

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