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岡山大学 環境理工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 木、
  • ダム、
  • 砂浜、
  • 津波、
  • 生態系、
  • 石、
  • 洪水、
  • 環境、
  • 海岸、
  • 命(いのち)・生命

川の生命は洪水が守っている!?

川に木がたくさん生えるのはよいことか

 昔の河原には、石がたくさんあって、人が水際まで行くことができました。ところが上流にダムが作られるようになって、河原の様子が変わりました。ダムにより洪水が起こらなくなると、上流から土砂が流れてこなくなります。川の水位もあまり変化しなくなった結果、水際に木がたくさん生えるようになりました。木がどんどん生えると、河原がまるでジャングルのようになります。見た目は木がたくさんあって自然が豊かなように見えますが、川の生態系を考えたときにはあまりよい状態とは言えません。

石ころや砂がいつも動いているのが生きている川

 本来なら川は蛇行するものです。その結果、砂が溜まって州になる場所があり、一方で川底の浅いところができます。木が生えていない州は、洪水が起こるたびに砂が流されて動きます。ところが木が生えてしまうと簡単には動かなくなります。実は洪水のたびに川はすこしずつ形を変え、それにより川の環境がリフレッシュされていました。川底にある石についた藻は鮎(あゆ)などのエサになりますが、石が動かないと藻が腐ってしまうのです。動かない川は死んでいるのと同じです。ですから一見豊かな自然に見える州に生えた木を、放置しておくのはよくありません。

洪水が川に生命を与えている

 洪水は川だけでなく、海の健康を維持するためにも重要な役割を果たしています。海岸の砂浜は山から川を伝って運ばれてきた土砂によって作られています。ところが土砂災害を防ぐ砂防ダムが作られたために、土砂の供給が止められてしまいました。その結果、海岸線が後退して、台風の高波や津波が来た時などの被害が大きくなります。こうした状況を改善するために開発されたのが、わざとすき間を空けたダムです。これは大きな石が下流に転がるのを防ぎ、土砂はある程度下流に流す仕組みです。また川の樹木を適切に管理することにより洪水の時に川を流れる土砂が増えて川や海岸が生き物のように動き出します。川や海岸の生態系は実は洪水によって保たれているのです。

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この学問が向いているかも 水工学、河川工学、自然災害科学


環境理工学部 環境デザイン工学科 教授
前野 詩朗

メッセージ

 近年、洪水の被害がよくニュースで取り上げられています。大雨が降り大災害を引き起こしているからです。こうした災害を防ぐために護岸整備が行われていますが、コンクリートだけを使ったやり方にはいろいろな問題があります。岡山大学環境デザイン工学科で取り組んでいるのが、自然にやさしい素材を使い、災害に強い多自然な川を作る研究です。豊かな川の環境を後世に残すのは、私たちの重要な使命です。広大なキャンパスを持ち環境に恵まれた本学で、ぜひ一緒に河川工学の研究に取り組みましょう。

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