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大阪大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 人工網膜、
  • 網膜、
  • 目・眼、
  • 水晶体、
  • 失明、
  • 視力、
  • カメラ、
  • 視神経

失明した人に、再び光を!

私たちは網膜でモノを見ている

 網膜は眼球の内側にある膜で、たくさんの視細胞や視神経などが層になっています。水晶体(レンズ)を通して入ってきた光が、この網膜上で焦点を結ぶことで、私たちはモノを見ているのです。
 網膜は中枢神経系の一部で、いったん傷つくと再生しません。そのため、網膜の病気で失明すると治すことができませんでした。そのような人たちに、再び光を取り戻す方法として注目を集めているのが、「人工網膜」の研究です。

安全な方法で視力を回復

 日本で本格的に人工網膜の研究がスタートしたのは、2001年です。アメリカやドイツでも人工網膜の研究は行われていますが、日本ではより安全性の高い、網膜を傷つけない方法での研究が進んでいます。
 目の前の様子を小型カメラ(CCDカメラ)で撮影し、画像をコンピュータ処理して体内に埋め込んだデータ受信装置に転送します。そのデータを電気信号に変え、眼球の外壁部分にある強膜(きょうまく)に取り付けた電極に送ることで、網膜に残っている視神経を刺激し、画像を脳に伝えるという仕組みです。2010年夏に、この仕組みで世界初の臨床試験に成功しました。おわんをつかめたり、モノの動きを指で追えるまでに患者さんの視力が回復したのです。見えなかった人にとって、これはまさに希望の光と言えるでしょう。

実用化をめざして

 現在は患者さんの満足度を高めようと、二つのアプローチで研究が進んでいます。一つは文字が判別できるように、電極の数を増やすことです。電極はデジカメの画素数のようなもので、数が多くなればなるほど、それだけ鮮明に見えるようになります。そしてもう一つは、杖に頼らず歩けるように視野を広げることです。
 医師とエンジニアが協力し、長いあいだ身体に埋め込んでも腐食しない装置や、配線の数を増やさず効率的に電極を増やす方法を開発しています。すでに実用化されている人工内耳のように、近い将来、実用化レベルの人工網膜が完成することでしょう。

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この学問が向いているかも 眼科学、神経科学、医用工学


医学部 医学科 感覚機能形成学 教授
不二門 尚

メッセージ

 医学は間口の広い学問です。理系が得意でも、文系が得意でもやりたいことが見つかる学問ですから、ぜひチャレンジしてください。特に眼は「精密機械」とも言うべきものなので、物理が好きなあなたは興味を持って取り組めるのではないでしょうか。人工網膜や再生医療など、最先端の医療技術にも関わる分野です。
 受験生は眼が悪くなりがちです。徹夜で勉強すると、近くのモノを長時間見続けるという、眼によくない条件がそろってしまいます。あまり根を詰めずに、しっかり睡眠をとりましょう。生活のリズムを大切にしてください。

先生の学問へのきっかけ

 もともと大学では物理学が専門でしたが、その後、神経にも興味を持って医学部に再度入学しました。目で物を見る仕組みは、光が網膜に焦点を結ぶところまでは「物理」の世界で、その後、脳に情報が伝わって見えると感じるのは「神経」の働きによるものです。というわけで興味がぴったり合ったのが目の研究で、眼科医になったのです。脳の発達の研究も、視覚系では精密な情報が得られるのが魅力でした。これは弱視などの眼科臨床とも結びついています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学の医療技術系研究者、市民病院医師、開業医、眼科機器メーカー研究員、コンタクトレンズメーカー研究員ほか

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