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大阪大学の教員によるミニ講義

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欧米人が薄暗い部屋で本を読んでも近視にならないワケ

近視率の高い東洋人

 日本の高校生の6割くらいは近視だと言われています。実際、欧米人より東洋人の方が近視の率が高いです。欧米、特にヨーロッパの家は概して窓が小さく、照明は間接照明で、人々は薄暗い部屋で本を読んだりしているのに、近視の人は少ないのです。もし日本人がそういう環境で暮らせば、多くの人は近視になってしまいます。この違いは何でしょうか。

眼の「奥行き」が関係していた

 たいていの病気には遺伝因子と環境因子があって、近視も例外ではありません。眼が悪くなる遺伝子を持っていて、眼が悪くなる環境が整えば、近視になります。遺伝でよく知られている事実は、両親または片親が近視だと子どもも近視になりやすいというものですが、はっきりとした“近視の遺伝子”は、まだよくわかっていません。
 環境的な要因としては、まず近くでモノを見ることです。アメリカ人の近視率はこの20年で15%くらい上昇したのですが、パソコンの普及で近くを見る環境が増えたことが理由の一つとされます。30cmより近くでモノを見ることを30分以上続けることは、近視のリスクファクター(危険因子)につながります。
 それでも欧米人が日本人より近視になりにくいのは、統計的に軽い遠視の人が多いからです。近視・遠視というのは眼の奥行き(瞳から網膜まで)の長短が関係します。もともと焦点が網膜の後方(遠視)にある欧米人が、網膜の前方に焦点のある近視になりにくいのは当然のことなのです。

「環境」が「遺伝」にどう影響する?

 屋外でスポーツをする子どもには近視が少ないという統計があります。仮説ですが、体を動かすことや太陽の光を浴びることが、眼の健康に良いホルモンや、神経伝達物質の生成と関係があるのではないかと言われています。
 環境因子もまた、未知の部分が多いのです。例えば、モノを近くで長時間見続けることが、どう遺伝子に作用して、どう視力の悪化に関係するのか、分子レベルで説明することはまだできません。解明はこれからなのです。

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この学問が向いているかも 眼科学、神経科学


医学部 医学科 感覚機能形成学 教授
不二門 尚

メッセージ

 医学は間口の広い学問です。理系が得意でも、文系が得意でもやりたいことが見つかる学問ですから、ぜひチャレンジしてください。特に眼は「精密機械」とも言うべきものなので、物理が好きなあなたは興味を持って取り組めるのではないでしょうか。人工網膜や再生医療など、最先端の医療技術にも関わる分野です。
 受験生は眼が悪くなりがちです。徹夜で勉強すると、近くのモノを長時間見続けるという、眼によくない条件がそろってしまいます。あまり根を詰めずに、しっかり睡眠をとりましょう。生活のリズムを大切にしてください。

先生の学問へのきっかけ

 もともと大学では物理学が専門でしたが、その後、神経にも興味を持って医学部に再度入学しました。目で物を見る仕組みは、光が網膜に焦点を結ぶところまでは「物理」の世界で、その後、脳に情報が伝わって見えると感じるのは「神経」の働きによるものです。というわけで興味がぴったり合ったのが目の研究で、眼科医になったのです。脳の発達の研究も、視覚系では精密な情報が得られるのが魅力でした。これは弱視などの眼科臨床とも結びついています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学の医療技術系研究者、市民病院医師、開業医、眼科機器メーカー研究員、コンタクトレンズメーカー研究員ほか

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