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大阪大学の教員によるミニ講義

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自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患のナゾ

臓器を機能不全にしてしまう自己免疫疾患

 私たちの体には「免疫」という、病原菌などの外敵の侵入に反応して、それをやっつけるシステムが備わっています。ところが、何を間違ってか自分の細胞や組織に対してまで攻撃を始めてしまう「自己免疫疾患」という病気があります。脳や消化器をはじめ、ほとんどの臓器に発症し、機能不全にしてしまいます。この自己免疫疾患のうち、甲状腺という内分泌臓器(ホルモンを分泌する臓器)に起こるのが、「橋本病」と「バセドウ病」です。

甲状腺ホルモンが減少する橋本病

 甲状腺は喉仏の下にある蝶のような形をした臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。橋本病は、この甲状腺の機能が自己免疫によって低下していく病気です。
 甲状腺ホルモンは全身の細胞の活動性(代謝)を高める働きを持っているので、甲状腺の機能低下によってホルモンが減少すると代謝が悪くなり、顔や手足のむくみ、体重増加、寒さに弱くなる、無気力になるなどの症状が現れます。
 橋本病はゆっくりと進行するため50歳位から発症する人が多いのですが、この病気にかかっていても発症しない人もおり、その人が持っている遺伝的要因が発症に関係していると考えられています。

甲状腺ホルモンが増加するバセドウ病

 自己免疫疾患は臓器の機能低下を招きますが、甲状腺には、反対に機能を高まらせる特殊な病気が存在します。
 甲状腺ホルモンは、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の刺激によって産生されます。甲状腺内でTSHが結合するのがTSH受容体です。このTSH受容体に対する自己抗体ができてしまい、甲状腺を刺激するためホルモンが過剰に分泌されるのがバセドウ病です。症状は橋本病と正反対で、イライラ、動悸(どうき)、多汗、疲労感、腸の動きも活発になるので下痢になり、いくら食べても痩せたりします。
 自己免疫疾患がなぜ起こるのか、病因はよくわかっていませんが、病因の解明は予防・治療につながります。現在は遺伝子レベルでの研究が続けられています。

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この学問が向いているかも 内分泌学 免疫学 臨床検査医学


医学部 保健学科 検査技術科学 教授
岩谷 良則

メッセージ

 私は子どものころ「鉄腕アトム」に夢中になり、人工知能を作ってみたくて工学部に進もうと思っていました。しかし縁あって医学部に進学することになり、出会ったのが甲状腺と橋本病の研究です。橋本病を発見したのは私の母校(九州大学)の大先輩である橋本策(はしもと はかる)先生ということにも、何かの運命を感じました。
 進学や就職の際には、自分が面白いと思う分野、興味のある分野に進んでほしいと思います。高い志を持ち、しっかりとした目標を立て、前向きに頑張れば、必ず成功するでしょう。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員、大学病院臨床検査技師、製薬会社臨床開発職、臨床検査機器試薬会社研究開発職/学術職、国公立病院臨床検査技師など

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