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『ガリヴァー旅行記』に隠された、生きるヒント

『ガリヴァー旅行記』は風刺小説

 『ガリヴァー旅行記』は、アイルランド生まれでイギリスの作家ジョナサン・スウィフトにより18世紀に書かれました。「ガリヴァー」と言えば巨人のイメージですが、これは第4篇まである『ガリヴァー旅行記』のうち、日本では第1篇の小人の国、第2篇の巨人の国のみを収録して出版されることが多く、特に小人の国であるリリパット国での冒険が印象深いからでしょう。しかし実は『ガリヴァー旅行記』は、当時のイギリス社会やヨーロッパ全体に向けた風刺小説で、第1篇・第2篇ではイギリスの社会・政治体制に、第3篇の空飛ぶ島ラピュータでは仮説的科学に、第4篇の馬の国ではヤフーという邪悪な生物を通して人間の内面の醜い部分に鋭くメスを入れました。「ヤフー」はインターネットの検索エンジンの名の由来でもあります。

小人の国や巨人の国は「逆転の発想」

 また、『ガリヴァー旅行記』は全体が「逆転の発想」に満ちています。小人の国ではガリヴァーは巨人ですが、次に巨人の国に行けば一転してガリヴァーが小人になります。本来は家畜である馬が人間を支配する国では、主従の関係が逆転しています。つまり「自分」という存在は、他者との関係によって大きくも小さくも見えたり、常識と思われている関係がすべてではない、と教えてくれるのです。この示唆は、青春の真っ只中にいる人にとって非常に重要です。

ひとつだけの価値観に左右されないで

 大人になろうとする時期、人は自己を確立するために大いに悩みます。周りが自分より優秀に感じて「俺ってダメだな」と落ち込んだり、勉強や趣味が認められて「私って意外とできるかも」と喜んだり。そのように揺れる自分は、いろいろなスケールの国を旅するガリヴァーと似ているのかもしれません。自分はダメだと感じても、それは「ある基準」の世界でのこと。視点を変えれば、ダメな部分が長所になるかもしれません。ひとつだけの価値観に左右されないでいろいろな世界に飛び込んでみる勇気を、ガリヴァーが後押ししてくれているのです。

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この学問が向いているかも 英米文学


文学部 人文学科 英米文学専修 教授
服部 典之

先生の著書
メッセージ

 好きなことをやりましょう! 嫌いなことを無理やりやっても、良い結果にはつながりません。大学に入るために勉強することは大切ですが、与えられた課題をクリアするだけでは人間の幅が狭くなってしまいます。私自身、早い時期から英米小説が大好きで、そればかり読んでいたおかげで回り道もありましたが、だからこそ今があります。人に決められたことではなく、自分のやりたいことなら失敗しても納得できます。“これだけは負けない”という自分の個性を大切にして、一度きりの人生をあなたの意志で悔いなくつかみとってほしいです。

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