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講義No.07567

生物工学の長所を生かして、今までにない医薬品を作る!

「ラクトフェリン」から薬を作ろう

 母乳や牛乳に含まれる「ラクトフェリン」というタンパク質があります。このラクトフェリンは、抗ストレス作用や抗酸化作用、抗ウイルス作用などさまざまな活性を持ち、健康食品によく使われています。しかし、タンパク質であるがゆえに口から摂取すると胃などの消化液により大半が分解され、かろうじて腸まで届いたものが吸収されたとしても、血中での安定性があまりよくありません。そこで血液中にある抗体の一部とラクトフェリンを遺伝子組換え技術で融合させると、活性はそのままに安定させることができ、医薬品として使えるものになります。

どんな薬をどんな方法で作るかもポイント

 こうして作られた薬の用途としてはまず、ラクトフェリンが肝臓に集積する性質を生かした、肝疾患治療薬が考えられます。またエンドトキシンという毒素に強く付着し、同時に抗菌作用や炎症も抑えてくれるなどマルチな活性があることから、敗血症の治療にも効果を発揮する可能性があります。
 実は高分子のポリエチレングリコール(PEG)を化学的に結合させても同様のことができるのですが、遺伝子組換えに比べると非常に高いコストがかかってしまいます。また、ラクトフェリンがいかに優秀な活性を持っていたとしても、世の中のニーズに合わない薬を作っても意味がありません。例えば抗菌性に関しては既によい薬があるため、わざわざラクトフェリンを使って薬を作る必要はないわけです。

工学ならではの発想を生かして

 またラクトフェリンはもともと食品ですから、汎用性を高めるという意味では、サプリメントとしての使用法も考えられます。この場合、遺伝子組換えをした食品には抵抗感があるなら、例えば酵素を用いてラクトフェリンを化学的に変化させるなどして血中での安定性を高めることもできます。
 あるものに付加価値を与え、いかに既存のものと差別化を図るかという観点は工学ならではの発想です。これこそが、生物工学による新薬開発の強みと言えるのです。

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生物工学の視点から、医薬品を作る!

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 生物工学、生化学、生物創薬学

東京工科大学
応用生物学部 応用生物学科 教授
佐藤 淳 先生

メッセージ

 薬を作るという目的は、生物工学も薬学も同じです。しかし、そこに至るまでの過程は異なり、工学的観点から、「いかに付加価値を与えていくか」というのが生物工学ならではのアイデアとなります。
 何か新しい知識を得ると、「別のものと組み合わせたら違うものができるな」と考えるタイプの人は生物工学の分野は向いているでしょう。知識を単なる知識で終わらせず、使い道を考えるのは夢があり、楽しいことです。また研究は企業と二人三脚で行うことも多いので、とてもエキサイティングでもあります。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃、昆虫採取が好きでした。しかし、捕まえた昆虫がすぐ死んでしまうことから「薬があれば治せるんじゃないか」と、考えるようになりました。そして、進学する大学・学部を決めるときに、「何かを作るならやはり、工学を勉強するのがいいだろう」と思い、工学部に進みました。そして企業に就職した後は、C型肝炎ウイルスの診断薬の開発に従事していました。その過程で「ラクトフェリン」の抗ウイルス作用を知ったのです。「ラクトフェリンは安全性も高いし、まだまだ研究の余地がある」と考え、その研究を専門分野にしました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社研究員/製薬企業の医薬情報担当者(MR)/受託臨床試験期間(CRO)/食品企業研究員

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佐藤 淳 先生がいらっしゃる
東京工科大学に関心を持ったら

 創立以来、産業界の要請を的確に予測し、一貫して実学を身に付けた人材の育成を目指してきました。またそのために、「ONLY ONE,BEST CARE」(OBC)という行動規範を掲げ、教職員が一丸となって教育改革に取り組んでいます。具体的には、●学生の個性を重視した教育の実施●先端技術教育による実社会に役立つ技術者や多様なエキスパートの育成●ICT に精通した技術者や多様なエキスパートの育成●国際的人材育成のための外国語(特に英語)の実践教育、の4つのミッションが実現するよう日々の努力を重ねています。

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