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講義No.07188

数学で解明する「渋滞」のメカニズム

古代ローマでも渋滞はあった

 交通渋滞とは、現代に特有のものと思われがちですが、歴史的に見ると、古代ローマ時代にはすでに軽二輪馬車による渋滞が起こっていたと言われています。「渋滞」と聞くと、高速道路での自動車の渋滞を思い浮かべますが、花火大会での人の混雑など、流れが悪くなる状態を広い意味で「渋滞」と呼んでいます。

錯覚が渋滞の原因になる

 交通渋滞には、事故渋滞のような外的要因によるものと、それ以外の内的要因によるものがあります。事故渋滞は、通行できる道路の幅が狭くなることが原因で起きますが、内的要因による渋滞は、道幅が同じであっても、一定の速度で走る車の流れがあるきっかけで壊れてしまうことによって発生し、その多くは“サグ部”で発生しています。“サグ部”とは、ゆるやかな下り坂から上り坂に切り替わる場所で、ドライバーは上り坂であることに気づかないため、車の速度が下がってしまいます。このとき、後続車は、前の車にぶつからないようにブレーキを踏みます。さらに後方の車も同じように速度を下げてしまい、この連鎖によって渋滞が発生しています。カラクリを考えると、ドライバーが上り坂を正しく認識できず、適切な加速ができていないことが原因となっています。“サグ部”では錯覚によって坂道を正しく認識することが難しいこともあり、錯覚を防ぐ対策、例えば水平のラインがはっきりわかるような基準線を道路脇に書くというような対策が考えられます。

身近なさまざまな問題への応用

 渋滞には、単純な物理法則だけでなく、人間の心理や意思が関わってくるため、そのメカニズムは非常に複雑です。最近の研究では、物の流れを計算する流体力学に加え、車1台を1つのボールに置き換えて単純化して考えるセルオートマトンという数学的手法が用いられ、メカニズムの解明が進められています。渋滞の発生メカニズムを数理で理解できると、交通渋滞ばかりでなく、スーパーのレジにできる行列の効率的な並び方など、身近にあるさまざまな渋滞問題に応用ができるのです。

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この学問が向いているかも 渋滞学、数理工学

武蔵野大学
工学部 数理工学科 准教授
友枝 明保 先生

先生の著書
メッセージ

 現在の社会では、多くの技術に、非常に高度な数学や物理が用いられており、そうした知識を扱える人材が求められています。交通渋滞を例にとると、渋滞が形成されるメカニズムを解明する方法や、渋滞を解消するための運転技術についても、数学を用いて導かれるようになってきています。
 数理工学科では、このような現代社会に適応する数学や物理の知識を広く学ぶことができます。オープンキャンパスも開催していますので、数学の好きなあなたは、ぜひ武蔵野大学工学部数理工学科に足を運んでみてください。

先生の学問へのきっかけ

 大学で数学を学びましたが、抽象的な話ばかりだという印象を持ち、「数学は何か世の中のためになるのだろうか?」と考え続けました。数学の理論を突きつめるだけでなく、実際の社会に応用してみたいと考え、数学の理論を使った交通渋滞の研究の道に進んだのです。
 渋滞に興味を持ったきっかけは、趣味のオートバイでした。ツーリングで高速道路を利用すると、よく渋滞に出合い、てっきり渋滞の先頭は事故や工事だろうと思って走っていたのに、抜けたところには何もない。不思議な現象だと感じていたことが、渋滞の研究につながったのです。

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友枝 明保 先生がいらっしゃる
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 武蔵野大学は、文・理・医療系の総合大学です。
 2019年4月、「データサイエンス学部」を新設予定。最先端の人工知能(AI)について学び、AIを使ってビッグデータを分析、活用できる人材を育成します。教育学部児童教育学科は「教育学科」に名称変更予定。経営学科・会計ガバナンス学科は経営学部に改組予定。
 11学部19学科になる武蔵野大学では、経済学、経営学、法学、文学、国際、語学、教育、薬学、看護、心理、福祉、工学、環境、建築などの学問分野が学べます。

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