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講義No.05230

大腸菌がエネルギー問題を解決する?

クリーンエネルギーとして注目される水素

 あと100年で枯渇するとも言われる石油資源や、原発廃止にともなう再生可能エネルギーへのシフトなど、エネルギー問題は未来への大きな課題です。そして、石油に代わる資源として期待されているのが水素(H2)です。水素と酸素(O2)を化学反応させて電気をつくる「燃料電池」の燃料として、クリーンエネルギーの元となるものだからです。しかし現在の水素をつくる方法の主流は、石油や天然ガスなどを改変するもので、石油資源に依存する点では変わりません。そこで注目されているのがバイオマスを使ったものづくり、ホワイトバイオテクノロジーで水素をつくる方法です。

水素生成能力を高めた大腸菌で水素をつくる

 具体的には、研究実験で身近に使用する大腸菌を使って水素をつくろうというものです。水素生成能力を向上させるために、大腸菌が持つ水素を消費する機構を破壊したり、水素をつくる経路や水素生成に関わる遺伝子群を活性化したりなど、大腸菌に5つの細工をすることで水素ガスの生成能力が大幅に向上した大腸菌株が作製されました。元の大腸菌と比較して141倍の水素生成率を達成し、ギ酸1モルから水素1モルを生成する100%のポテンシャルを実現しました。またグルコースからの水素生成でも、8つの細工をすることで、従来の5倍の水素生成能力を発揮させることに成功しました。

実用化の課題はコストを下げること

 標準家庭の1年間の電気代を10万円として、そこで消費される電気を燃料電池で生成し、必要な水素を大腸菌でグルコースからつくるとして試算すると、約50万円かかります。今後の課題は、いかにコストを下げるかです。そのためには、大腸菌の遺伝子機能の解明を進めて水素生成能力をより高めることと、さらに下水汚泥などのゴミを原料化するなど、いかに安い原料を使うかです。実現すれば、バイオテクノロジーを使ったコンパクトな燃料電池の装置をつくることも可能になります。大腸菌がつくる水素社会も夢ではないのです。

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この学問が向いているかも 応用微生物学、遺伝子工学

九州工業大学
大学院生命体工学研究科 生体機能応用工学専攻 准教授
前田 憲成 先生

メッセージ

 あなたは日々、人生の選択肢を増やすために勉強していることと思います。将来のある有志として、自分自身の生き甲斐、やり甲斐に向けて、引き続き努力してください。そして、将来の日本を支えていってください。私は、北九州市の若松にある九州工業大学の大学院で、微生物を使ったバイオテクノロジーについて研究しています。あなたも興味があるなら、ぜひ一度、足を運んでほしいと思います。会える日を楽しみにしています。

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前田 憲成 先生がいらっしゃる
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 九州工業大学大学院生命体工学研究科は、北九州市若松区の北九州学術研究都市内に2001年に開学しました。生命体工学という新しい分野を創成し、生物の持つ、省資源、省エネルギー、環境調和、人間との親和性等の優れた構造や機能を解明し、それを工学的に実現し応用することのできる技術者や研究者の育成を目標としています。また、本研究科では様々なプロジェクトに取り組んでおり、ロボットによるサッカー競技会への参加やトマト収穫ロボット競技会の企画等を通じて、「自然とロボットのあり方」について研究を進めています。

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