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講義No.09188

世界的なエネルギー問題の解決の鍵は、二次電池の開発にあり

化石燃料に代わるエネルギー源

 エネルギーをいかに確保するかが世界的な課題となっています。温暖化の原因となる二酸化炭素の排出削減のために、化石燃料の使用が抑制される一方で、それに代わる有力なエネルギー源が十分ではないからです。原子力発電は、日本では事故の記憶から国民の支持を得られず再稼働が進みません。また、今後発展が期待される再生可能エネルギーは、自然現象に依存するため供給が安定せず、エネルギーの主流になるのはまだ難しい状況です。

化学反応を使って電気を生み出す・貯蓄する

 電気は、エネルギーの中で使い勝手がよく、電線で運搬できる上、ほかのエネルギーへの変換も容易です。その電気を作り出すのに、火力発電所では、熱エネルギーを基にタービン、発電機を通して電気へ変換しています。一方、燃料電池では化学反応を通して電気を生むことができます。化学反応から電気へのエネルギー変換効率は理論的に高いため、化学エネルギーの活用が期待されています。また、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー利用への期待も高まっていますが、作り出した大量の電気を蓄えて安定した供給が必要です。この場合にも繰り返し充放電可能な二次電池(蓄電池)が活躍します。

電池の性能向上でエネルギーの有効利用

 リチウムイオン電池はすでに実用化されていますが、安全性や高エネルギー密度化、高出力化、材料資源の確保などで課題が多くあります。そこで、多くの研究者が電池の高性能化に向けて活発に研究開発に取り組んでいます。電池反応にともなうイオン移動の高速化や多くの電子を動かすことができる材料の開発がなされています。電池の有機電解液を無機固体にして安全性を高めた全固体電池や、リチウムよりも1000倍以上の埋蔵量があるナトリウムを使った安価な電池の研究開発も進んでいます。二次電池を使用する電気自動車は、現在は航続距離や充電時間でガソリン車に劣りますが、電池の性能向上が進めば、それらの課題も解消され、普及も進み、二酸化炭素の削減に貢献するでしょう。

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この学問が向いているかも 応用化学、電気化学

長崎大学
工学部 工学科 化学・物質工学コース 教授
森口 勇 先生

先生の著書
メッセージ

 化学は、原子、分子、イオン、電子、光から、実際に手で触れる大きさの物質、材料、生命、空間に至るまで、さらにそれらが関わる反応や現象も含めて、あらゆるところに関わる学問です。そこには未知で無限の可能性と夢が広がっています。なぜ、どうしてと疑問を持って、探究することが化学という学問のスタートです。
 今、人類が直面しているグローバルな環境・エネルギー問題の解決には、化学を基にした新しい技術が必要になっています。時代は、あなたの創造力とチャレンジ精神を求めているのです。

先生の学問へのきっかけ

 子供の頃、坂本竜馬の肖像写真で代表される長崎出身の写真家、上野彦馬に興味を持ち、写真技術がまさに化学であることを知り、化学者をめざすようになりました。大学生の時は有機化合物の研究を行い、その後、地元の長崎大学に教員として戻り、まったく畑違いの無機材料開発の研究室に入りました。当時は有機・無機の複合系学問の研究はほとんどありませんでした。両方の分野の知識を生かして、新しい視点からの材料開発の研究を行い、現在は、電気自動車で使用される二次電池などを対象にした新しい蓄電材料の開発へと展開しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

自動車メーカー研究員/電池メーカー研究員/半導体メーカー研究員/化成品メーカー研究員/石油化学会社研究員/大学教員/高校教員

研究室
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森口 勇 先生がいらっしゃる
長崎大学に関心を持ったら

 長崎大学は、医学、工学、教育、経済など実学系学部から構成されています。実学の蓄積により作られた長崎大学の個性が、東日本大震災直後の支援活動及び現在も続く福島県民の被曝健康リスク管理という形、すなわち「現場に強い大学、危機に強い大学、行動する大学」として表れています。今、日本には未来を切り拓く新しい人材が求められています。本学は、国際的な現場でリーダーシップを発揮できる人材、グローバル人材の育成をめざし、未来への一歩を踏み出しました。これからの長崎大学に期待してください。

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