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講義No.09111

学校で声が出せなくなってしまう不安障害、「場面緘黙」の子どもたち

約500人に1人いる「場面緘黙」

 家では話せるのに人前に出ると話せなくなってしまう症状は「場面緘黙(ばめんかんもく)」と呼ばれます。約500人に1人が発症していると言われており、多くは幼児期に症状が始まります。場面緘黙の子どもはクラスメイトが話しかけても返事ができないし、授業中に音読することもできません。ずっとそういう状態が続くと、周囲からあの子は話さないと認識され、ますます話しにくくなります。年齢が上がると話せるようになるケースもあれば、30代を迎えるのに20年以上も母親以外と会話をしたことがなく、その母親とですらほとんど口をきいたことがないという人もいます。

学校は緊張する場所

 場面緘黙の大きな原因は不安や緊張です。過度の不安を感じると爪かみや母親と離れられないといった形で心の状態を表面化させる子は多いですが、場面緘黙もそうした不安や緊張から生まれる症状の一つだととらえることができます。環境の影響も大きく、特に不安と緊張を強いられる場面の多い「学校」は緘黙状態に陥りやすい場所です。

心理療法を使い症状を改善

 場面緘黙は特別支援教育の対象の一つで、早い段階から適切な関わり方をすればほとんどの場合は治すことができます。しかし、「席に座っていられない」「友だちとのトラブルが多い」といったほかの発達障害と異なり、授業の妨げにならないため、適切な支援が得られず放置されてしまうケースも多いのです。場面緘黙を治すには、本人の話しやすい相手や場所、考えていることなどを丁寧に聞き取り、一人ひとりにあった支援方法を考えます。今できていることより少し高いハードルを用意し、クリアしたら次のステップに進むという一種の心理療法を用います。ハードルは人と場所、活動を組み合わせて作ります。例えば最初の段階では「クラスメイトを家に招き、少し発声が必要なUNO(ウノ)のようなカードゲームをする」とします。それができたら次は遊びを「カルタ」にしたり、遊びの場所を「校庭」に変えるなど、少しずつ条件を変えていくのです。

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この学問が向いているかも 特別支援教育、臨床心理学

長野大学
社会福祉学部 社会福祉学科 准教授
高木 潤野 先生

先生の著書
メッセージ

 日本の社会は過剰にコミュニケーションが要求されます。しかし誰もが空気を読むことに長け、会話するのが得意なわけではありません。「いいね!」の数や他人の評価に一喜一憂してはいないでしょうか。本来はそんなに話がうまくなくてもいいし、友だちも本当に仲のいい人が1人か2人いれば十分なのです。
 自分の中に確固たる物差しを持ち、他人の言葉に揺れない強さを磨くことが大事です。そうやって一人ひとりの「よさ」を認め合える社会こそが、「誰にとっても生きやすい」社会になるのだと思います。

先生の学問へのきっかけ

 言葉に関心があり、大学で言語障害教育を学びました。修士課程まで修めた後、教員として養護学校や小中学校に勤務しましたが、場面緘黙という症状のある子どもと出会ったことを機に、場面緘黙の研究を始めました。場面緘黙の子どもに対処しようとしても日本では研究が行われておらず、それならば自分が先駆者となり、きちんと対処できる教員や専門家を育成しようと考えたからです。私自身、空気を読んだり他人に合わせたりすることが好きではなく、場面緘黙の人に共感するところが大きかったことも理由のひとつです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

特別支援学校教員/小・中学校教員/カウンセラー

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高木 潤野 先生がいらっしゃる
長野大学に関心を持ったら

 7月14日(土)に東京ビッグサイトで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2018東京会場」で、高木潤野先生が「話したいのに「声が出せない」子どもたち」というタイトルの講義ライブを14:20から実施!全部で380名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む205大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 http://yumenavi.tokyo(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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