夢ナビWebセレクション

岡山大学 環境理工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 位置情報、
  • 統計学、
  • 空間統計学、
  • 数学、
  • ビッグデータ、
  • GIS(地理情報システム)、
  • 遺伝子

伝染病の流行状況から地球環境まで、位置情報を解析する「空間統計学」

地理情報データを有効活用する「空間統計学」

 統計学の目的は、数字の羅列であるデータの中から規則性の有無を見極め、可視化できる情報を抽出することです。近年、地理情報システム(GIS)の高度化で地理情報データの収集・整備が進んでいて、そのデータを有効活用する手法として注目されているのが「空間統計学」です。
 空間統計学では「そのデータがどこで記録されたか」という位置情報が座標や緯度経度などの数値として付加されているデータを扱い、規則性などを見出したり、必要な値を予測したりといった分析を行います。

病気や犯罪の「ホットスポット」を検出

 位置情報を持つデータには、経済指標や地理情報、地球の自然科学系データ、病気や犯罪の発生分布などがあります。例えば、インフルエンザはどの市区町村で多く発生していて、特に多発している地域(ホットスポット)があるのか、それがどの範囲と断定できるのかなどを、数学を用いて客観的に分析します。
 空間統計学を使ってホットスポットを検出する手法はこれまでにさまざまなものが考案されてきましたが、同定されるホットスポットの形状に制約をともなうものであったり、何千~何万といった領域からなる大規模な空間データの場合は、非常に時間と手間がかかることがネックでした。

遺伝子空間にも応用できる「エシェロン解析」

 しかし、「エシェロン解析」という手法を応用すると、ホットスポット抽出のためのスキャン(解析のためにどういう領域をとるかを探すこと)が非常に効率化します。エシェロン解析とは、データの空間的な位置を表面上のデータの高低と隣接情報に基づき分割し、空間データの位相的な構造を系統的かつ客観的に見つける解析法です。
 エシェロン解析はさまざまなデータに適用できるため、例えば遺伝子同士の位置情報を解析して、特定の病気との関連性を統計学的に導くこともできます。空間統計学の面白さは、どんどん応用範囲が広がっていく点にあります。ビッグデータの時代、空間統計学の可能性は無限大です。

再生スピードを変更できます。

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 統計学、空間統計学


環境理工学部 環境数理学科 准教授
石岡 文生

メッセージ

 「統計学」はなんとなく知っていても、「空間統計学」はイメージしづらいと思います。地理や空間に関係づけられた情報を持つデータを解析し、目に見える有益な情報を抽出するのが空間統計学のテーマです。
 地理情報システム(GIS)やスマートフォンの普及で膨大で複雑な位置情報データの収集が可能になり、その分析は各界で大きな注目を集めています。でも、空間統計学の真髄は、精緻な計算の積み重ねと試行錯誤にあります。どんな学問でも、あきらめずに追究すれば光が見えます。粘り強く果敢にチャレンジする、あなたを待っています。

先生の学問へのきっかけ

 中学・高校を通じて、決められた手順に沿って問題を解く数学に親近感を持っていました。コンピュータにも強い興味があり、ちょうど環境問題が社会で注目されていた頃だったので、岡山大学の環境数理学科を選んで進学しました。
 大学時代の恩師が2000年頃に渡米して「エシェロン解析」を学んで帰国し、日本での第一人者となりました。恩師の下でその知見を学び、大学院生の時にエシェロン解析のプログラムを世界で初めて作成したのが大きな自信になりました。この解析法を用いたエキサイティングな研究を今も続けています。

TOPへもどる

夢ナビロゴ

夢ナビ編集部copyright(c) 2008- Frompage Co.,Ltd. All Rights Reserved.