夢ナビWebセレクション

岡山大学 環境理工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 化学、
  • 環境、
  • 細胞、
  • 物質、
  • リポソーム、
  • 化学工学

環境に優しく、安全で効率的なモノづくりを実現する化学工学

化学工学は「料理のレシピと調理器具」づくり

 化学工学は、化学製品を生産するための工学です。化学製品は物質同士の化学反応だけではできません。化学反応の前後に物質同士を混ぜたり、分離させたりといった物理的な処理が必要で、その手法や装置を設計するのが化学工学です。
 料理でいえば、卵を攪拌(かくはん)すると黄身と白身が混ざる現象が化学反応です。化学工学では、両者がうまく混ざりあうにはどんな装置が必要か? 混ぜるエネルギーの大きさは? 1秒あたりに投入する卵の適切な量は?などを計算し、いわば料理のレシピと調理器具の設計を行います。

移動現象を応用して装置やプロセスを設計

 化学工学では「熱移動」「運動量の移動」「物質の移動」の移動現象の三原則を応用して装置やプロセスを設計します。ラーメンにラー油を入れると味が変わるのは、スープの中のうま味成分がラー油へ移動する、つまり物質移動と拡散が起こるからです。
 化学工学の中で分離プロセスを扱うのが分離工学で、移動現象の三原則を用いると、蒸留や吸着、抽出などの分離をうまく説明できます。蒸留は熱を加えて沸騰しやすいものを液体から気体の方に物質移動させること、吸着は例えば匂いの物質を別の物質へと運動量移動させてくっつけ、消臭することです。

細胞の仕組みを応用

 化学工学の醍醐味は、この三原則を組み合わせたオリジナルなプロセス設計です。その手段としてリポソーム(人工生体膜)が注目されており、最も環境に優しく、目的に最大限特化した最小の工場である細胞の仕組みを、化学工学に応用するのが狙いです。細胞は自分たちの生命活動を維持するために、一切の無駄なく物質を作り、必要な場所に必要な物質をタイミングよく運び、工場が傷めば修理し、最後は工場を解体してほかの細胞に資源を再分配します。
 化学工学の知識で細胞を見直し、まだ使われていない重要な物質の作り方などのエッセンスを、環境に調和したプロセス設計のモデルとして活用する研究が進んでいます。

再生スピードを変更できます。

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 化学工学、分離工学


環境理工学部 環境物質工学科 准教授
島内 寿徳

メッセージ

 化学工学は今や化学工業のみならず、環境やエネルギー、バイオや医療など、世の中の幅広い分野で活用されている有望分野です。初めは、高校までで学ぶ化学とのギャップに驚くかもしれません。数学や物理の計算を多用するので、高校の数Ⅲで学習する微積分や図形的処理の知識を持っておいてください。また、論理的思考を図式としてイメージする能力も必要です。
 それらに加え、環境物質工学科は環境問題にまつわる化学の課題を解決する学科なので、環境への関心や疑問を常に持ってほしいと思います。未来に向けて一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 もともと理系の勉強は好きでしたが、高校の先生に「君は数学のセンスがない」と言われ、それなら物理に進もうと思いましたが、「物理は才能がないとアカン」と言われ、最終的に得意な化学の道を選びました。
 実は私自身も「化学」と「化学工学」の違いがよくわからないまま進学し、大学では装置の設計や化学プラントの設計論などの講義に驚きました。でも、「分離工学は面白い」と感じ、大学の恩師が手がけていた「細胞をモデルにした環境に優しい分離システム」の研究にひかれ、進むべき道がはっきり見えました。

TOPへもどる

夢ナビロゴ

夢ナビ編集部copyright(c) 2008- Frompage Co.,Ltd. All Rights Reserved.