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講義No.08740

初詣は「伝統」ではない!? では、どのようにして誕生したのだろう?

今のような「初詣」は江戸時代にはなかった!

 「初詣」というと日本の伝統的な行事と考えている人が多いでしょう。しかし、正月三が日にどこかの神社・寺院に参拝するという行事は、実は明治時代の中頃から始まったものです。江戸時代にも、正月に社寺に参拝する「恵方(えほう)参り」という行事はありましたが、これは居住地と年によって縁起のよい方角が決まる恵方に基づくもので、毎年参拝すべき場所が厳格に決まっていました。また、参拝の日取りについても、例えば、成田山新勝寺(なりたさんしんしょうじ)では、年末28日が縁起がよいとされ、必ずしも正月三が日だけが参拝すべき日ではなかったのです。

乗車率の下がる冬に乗客を増やそうとした鉄道会社

 恵方参りの風習を初詣に変えたのは、実は鉄道会社です。明治時代の庶民は、お盆や正月くらいはのんびり旅行したいという思いがありました。特に都会は近代化の影響で工場が増え人口が集中していたので、自然豊かな郊外に行きたいという欲求が高まっていました。一方で、明治時代になって敷設された鉄道は、今のような快適な冷暖房設備がなかったため、暑い夏と寒い冬に乗車率が下がるという問題を抱えていました。
 そこで、鉄道会社は恵方参りを利用して正月に集客しようと考えたのです。ただ、恵方の方角は毎年変わるため、恵方参りでは毎年集客するわけにはいきません。そこで、恵方参り以外の年は、「初詣」という言葉を使って、場所を限定せずに、「正月にお参りしよう」というキャンペーンを張ったのです。これが大当たりして、いつの間にか初詣のほうが正月の行事として定着しました。

近代化で伝統的な風習がなくなるわけではない

 日本は明治時代に近代化が進展しました。近代化というと、産業が振興して教育が充実することで、伝統的な風習は消えていくと考える人が多いかもしれません。しかし、これは必ずしも正しいわけではありません。初詣のように、中身は多少変わったとはいえ、古い風習がマーケティングの手法によって形を変えて継続することもあるのです。

参考資料
1:京浜電鉄(現在の京浜急行電鉄)の恵方詣・初詣の広告

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「初詣」は鉄道が生んだ新しいスタイル!?

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この学問が向いているかも 歴史学、観光学、民俗学

九州産業大学
地域共創学部 観光学科 ※2018年4月開設 准教授
平山 昇 先生

先生の著書
メッセージ

 私の専門は「歴史学」です。教科書に載っていることを暗記することが歴史ではありません。教科書には、人類の広くて深い歴史のごくわずかしか載っていません。我々の身の回りには、まだ解き明かされていない、あるいは、あなたがまだ知らない興味深い歴史がたくさん潜んでいるのです。ぜひ、歴史学の奥深さ、面白さを味わってほしいと思っています。

先生の学問へのきっかけ

 身内に警察に勤めている人がいたため警察官僚になりたいと思い、東京大学の文科Ⅰ類に入学しました。ところが、講義で明治維新を研究する教授に出会い、「歴史学」の面白さを知ったことで、方向転換して歴史学の研究者になりました。
 大学のゼミで「初詣は明治政府が天皇制への共感を高めるために作った」という論文を読み、自分で詳しく調べてみると、鉄道に関する資料がたくさん出てきました。そして、初詣は明治政府ではなく鉄道会社が作ったことがわかったのです。歴史学の面白さは、このように思いがけない事実に出会えることです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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