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講義No.08736

大気突入機はなぜ高温になるのか? ~熱から機体を守る方法とは~

「大気突入機」は高温にさらされる!

 宇宙を飛行する宇宙機には、人工衛星や惑星探査機などさまざまな種類があります。その中に、惑星の大気に突入する大気突入機があります。例えば、小惑星を探査した「はやぶさ」では、採取したサンプルを大気突入機で地球に持ち帰りました。大気突入機が大気に突入すると白く光って見えます。これは、機体の温度がとても高温になるためです。では、なぜ大気に突入すると高温になるのでしょうか?

「空力加熱」と機体を守る仕組み

 「はやぶさ」の大気突入機が地球の大気に突入するスピードは秒速12kmに達します。これは、博多から鹿児島までをたった20秒で移動するすさまじいスピードです。機体の前方にある空気はこのスピードで機体にぶつかり、せき止められるために圧縮されます。そして、空気は圧縮されると温度が高くなる性質があるため、機体にぶつかる空気の温度は高くなります。そのため、機体は高温の空気にさらされることにより強く加熱されます。この現象を「空力加熱」と言います。空力加熱はスピードが速いほど強くなります。「はやぶさ」の場合では、機体の表面温度は3千度にまで達したとみられます。このように、大気突入機は空力加熱により強く加熱されるため、機体を熱から守る仕組みが必要です。「はやぶさ」の場合では、CFRPというプラスチックで機体を包みました。プラスチックは金属よりも熱を通しにくい性質があります。また、熱を受けて溶けますが、溶かすことに熱が使われるため、通過する熱はその分だけ減ります。このように、熱から守るためにプラスチックを使うことは一見頼りなさそうに思えますが、とても効果的なのです。

隕石落下の防災にも役立つ

 地球大気に突入してくる物体としては隕石もあります。大きな隕石が落下すると、地球規模での災害となる可能性があります。この災害を予測するためには、大気に突入した物体のふるまいを解明することが重要になります。そのため、大気突入機の空力加熱の研究は、隕石落下の防災にも役立ちます。

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この学問が向いているかも 航空宇宙工学、機械工学、流体工学

長崎総合科学大学
工学部 工学科 機械工学コース 准教授
松川 豊 先生

メッセージ

 高校で学ぶ数学や物理学などの科目は工学の基礎です。しかし、では何か実際的なことに使おうとすると、まだ役に立ちません。実際的なことへどのように結びつくのか、まだ実感がないのではないでしょうか。これを実感するためには、大学での学びが必要です。そして、実感するほど、とても楽しくなります。また、大学では多くの新しい分野に触れることができます。「こんな分野があったのか」や「こんなことができるのか」という発見があります。あなたの世界がこれまでよりもぐっと広がります。ぜひ、大学での学びをめざしてみませんか?

先生の学問へのきっかけ

 テレビや漫画に登場する「博士」は、科学技術で何でも作ってしまいます。小さい頃はその「博士」に憧れていました。その後、宇宙が具体的な興味の対象となりました。特に、太陽系や遠い宇宙を自由に飛ぶ宇宙船の開発を夢見るようになりました。そのため、航空宇宙工学を学べる大学へ進学することに決めました。航空宇宙工学は範囲がとても広く、いろいろな分野を学べます。そのなかで、流れ(流体工学)への関心が強くなりました。そして、JAXAにおける活動もきっかけとなり、大気突入機の空力加熱を研究するようになりました。

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松川 豊 先生がいらっしゃる
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 長崎総合科学大学は、工学部、総合情報学部の2学部2学科8コースからなる私立大学です。「専門をきわめ、他分野も広く学べるコース制」と、「徹底した基礎力の養成」により、専門分野に限らず関連する多くの知識を横断的に習得し、多様化する技術分野に対応できる幅広い理解力を持つ人材を養成します。
 「学生第一主義」をビジョンに掲げ、各種ロボットコンテストや地域の活動など学生主体のプロジェクトを支援し学生の創作意欲を応援。さらに産官学が一体となった研究で、地域や社会に貢献する活気溢れる“実学実践”の大学です。

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