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神戸大学 理学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 数学、
  • 数理モデル、
  • 確率、
  • 数列、
  • ブラウン運動、
  • ランダム

規則的構造にひそむ乱雑さを探る数理~「確率論」の世界~

小数点以下に見られるランダムネス

 コインを何回も投げた結果、表と裏が交互に表裏表裏表裏……ときれいに繰り返すのではなく、もっと乱雑な結果が出ることを期待するでしょう。これが「乱雑さ(ランダムネス)」と呼ばれるものです。一方、等差数列、等比数列は、初期値(初項)に公差と呼ばれる数を次々と足して得られる数の並びが等差数列、初期値に一定の数である公比を掛けた数の並びが等比数列です。ともに規則的に数を足したり掛けたりするので、ランダムネスはないと思われがちですが、各々の数列の小数点以下、つまり0と1の間のちらばりを見ていくと、乱数のようにランダムな様相を呈しているのです。

「公比2が一番乱雑」の発見

 このように規則的な構造にひそむ乱雑な現象の性質を詳しく調べるのが、「確率論」研究の1つです。乱雑さを計る方法はいろいろですが、0から1の間の特定の区間(a,b)の中に入る比率を調べる方法では、全体の個数nの値を大きくしていくと、多くの場合b-aに近づいていきます。それはサイコロを振って出る目のランダムさの性質と非常に似ています。またその近づき方は、乱雑さがある等比数列の方が規則正しい等差数列より遅いということも確認されています。これらの挙動を円周にドットを落とすようにして視覚的に表現すると、規則性や乱雑さがとてもよくわかります。実は近年、公比が2の場合が一番乱雑であることも発見されました。

ブラウン運動も確率論で定式化

 例えば、溶媒中に浮遊する微粒子が不規則に運動する現象として知られる「ブラウン運動」は、まさに乱雑さの積み重ねです。発見したのは植物学者ですが、それがどのようなものかを物理学から解析したのはアインシュタインです。さらにそこから数学者ウィーナーが、確率論からのアプローチで数理モデルとして定式化したのです。
 賭け事の計算から始まったとされる確率は、研究や整理を経て1930年頃から数学として扱われるようになった新しい学問ですが、現在、経済や工学などのさまざまな分野でも応用されています。

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規則的構造にひそむ乱雑さを探る数理

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理学部 数学科 教授
福山 克司

メッセージ

 数学は長い間、「代数」と「幾何」のせめぎ合いの中で育ってきました、その中で微分積分を中心とする「解析学」が生まれ、その延長線上に確率論はあります。それは、「予測不可能な乱雑さが次々と重なってくるような現象を考える」ものです。したがって、高校で学ぶ確率とは随分違います。
 私の研究室では確率論を使ってさまざまな予測不可能な乱雑さ、すなわち「ランダムネス(不規則性)」の解析をしています。このような分野に興味があるなら、神戸大学で一緒に研究してみませんか。

先生の学問へのきっかけ

 私は図書館や本屋さんでいろいろな本を探して読み、自分で勉強するのがとても好きな高校生でした。ある時出会ったのが「確率」に関する本でした。その本がとても面白かったので、それがきっかけになって、大学で数学を学ぶことにしたのです。
 大学で数学を学び始めると、高校生の時には思いもつかなかったような数学の世界に引き込まれていきました。そして気がつけば、最初に出会った確率論が専門分野になっていたというわけです。
 1冊の本との出会いから数学に引き寄せられました。

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