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講義No.08541

ゴミ屋敷はなぜできる? 「健康社会学」からのアプローチ

健康社会学とは何か

 体調が悪くて病院を受診しても、はっきりした原因がわからないことがあります。そのようなときは生物学的・医学的要因ではなく、心理的また社会的な要因が影響しているかもしれません。また、健康や生活上の問題を抱えている人たちが暮らしにくい状況は、医療や福祉制度のあり方や、その人を取り巻く文化や社会的環境で作り出されていることもあるでしょう。このように、人々の健康や福祉、QOL(Quality of Life:生活・生存・人生の質)に関する問題を社会的、心理的、文化的、制度的な観点から理解しようとするのが「健康社会学」です。

ゴミ屋敷問題の背景にある「セルフネグレクト」

 自分の健康と安全の維持に必要なものや支援を、自ら放棄している状態を「セルフネグレクト」と言います。一例が、居住者が自ら生活環境を悪化させる、いわゆる「ゴミ屋敷」の問題です。このような場合、ただゴミを撤去すればよい、というものではなく、なぜゴミを集めて溜め込んでしまうのか、その背景や要因を探ることが重要になってきます。「居住者に認知症など病的な理由があるのか」「配偶者を亡くしたなど孤独感によるものなのか」「完璧主義がゆえに分別できずにゴミが溜まってしまっているのか」など、状況や理由によって取るべき対応は違ってくるのです。

世の中の問題を身近な問題としてとらえる

 近所にゴミ屋敷があれば、迷惑だと思う人が大半かもしれません。しかし、ゴミ屋敷に代表される「セルフネグレクト」の状態は、一部の人だけが陥りやすい問題なのかというと決してそうではありません。高齢になって認知症や一人暮らしになったときには、誰もがそうなってしまう可能性はあるのです。ですから、「厄介な問題」として排除するのではなく、自分の問題として考えられるようになれば、社会も少しずつ変わってくるでしょう。
 このように問題のメカニズムを発見し、解決策を世の中に広く示していくことが、健康社会学の大きな役割なのです。

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この学問が向いているかも 健康社会学、社会福祉学

首都大学東京
都市環境学部 都市政策科学科 ※2018年4月設置 准教授
杉原 陽子 先生

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メッセージ

 健康や福祉に関する問題は、社会と密接に関わっています。いま現れている現象の背景や要因を探ることで、社会はどうなっているのか、何が問題なのかが見えるようになり、将来のまちづくりなどに生かしていくことができるでしょう。
 「健康社会学」の知識を持つと、さまざまな問題を客観的に考えられるようになります。もし自分自身が何か困難な状況になったとしても、その壁を乗り越える知識が身についていれば冷静に対処できるはずです。あなたも健康社会学を大学で一緒に学んでみませんか。

先生の学問へのきっかけ

 学生の頃、体調を崩して病院で検査を受けたのですが、はっきりした原因はわかりませんでした。「身体的には問題がないのに体調が悪いのは、なぜだろう?」という疑問から、「医学ではない観点から人の健康や病気について考えてみたい。そんな学問ってあるのかな?」」と思うようになり、そんなときに出会ったのが「健康社会学」という学問でした。
 人の健康には人間関係や社会的な状況、心理的な問題などが影響していることがわかり、これらの状況をどのように改善すれば、人々の健康を良くすることができるのかというテーマの研究を行ってきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁保健福祉/国公立研究機関研究員/民間シンクタンク研究員/食品会社企画開発

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杉原 陽子 先生がいらっしゃる
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 首都大学東京は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。都市教養プログラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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