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宇都宮大学 工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • ロボット、
  • 地磁気、
  • センサー、
  • 空間、
  • 情報、
  • 発想

「逆転の発想」から生まれた、地磁気を利用した自動走行ロボット

「地磁気の乱れ」を目印に

 方位磁石で方向を指定し、走行するように設計したロボットは、しばしば同じ場所でトラブルを起こします。原因は主に「地磁気の乱れ」です。地磁気とは地球の磁場ですが、これは鉄筋コンクリートの建物や、金属でできた構造物によって乱れが生じます。ロボットはその乱れに反応して、設計通りの走行ができないのです。つまり地磁気の乱れは、ロボットの走行には「じゃまなノイズ」なのです。しかし、ここで「逆転の発想」が生まれました。環境の中に多くの地磁気の乱れがあるということは、ロボットにとってこの情報が場所を特定する「目印」になるかもしれないということです。

地磁気とは無関係なロボットたち

 多くの自動走行ロボットは、地磁気とは無関係なシステムで動いています。まず、道路、建物、電柱、樹木、家具などの空間の情報を盛り込んだ地図を、ロボットに搭載します。ロボットは、センサーを駆使して、建物や道路などを検知し、それらと自分の距離を測って、自らが持つ空間情報と照らし合わせ、自分の現在地を認識して動いているのです。
 ところが、建物の横に人間が立ったとしましょう。ロボットは、その人間を建物の一部と勘違いします。すると、自分が持っている空間情報の建物の位置と、センサーで検知した位置が合わないために、現在地が検出できなくなってしまうのです。人間と建物を区別できるセンサーなら避けられるトラブルですが、そんなに優秀なセンサーは、簡単には作れませんし、できてもかなり高額です。

地磁気の地図を併用する

 そこで、空間情報と地磁気の地図の2つを併用するロボットが考案されました。空間情報は人間によって乱れますが、地磁気の情報は人間の影響をほとんど受けないので、両方を併用すれば、人間がいても現在地を見失わないのです。このロボットは、実際に街中を走行する実験でも、大変優秀な成績を収めています。このように逆転の発想から生まれたロボットは、世界をますます多様に発展させてくれることでしょう。

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磁気の狂いを利用して走行

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この学問が向いているかも 機械工学、ロボット工学


工学部 機械システム工学科 教授
尾崎 功一

メッセージ

 ロボットは実学です。机の上で書いた設計図通りに作っても、現実世界で動かしてみると、考えた通りにはいかないことがたくさんあります。そんなときは、発想を変え、誰も思いつかないやり方を考え出すと、うまくいくことがあります。
 誰も思いつかないやり方とは、学生たちとの雑談、大学の先生方との付き合い、日常生活の中のちょっとした思いつきがヒントになります。また、私の研究室では、ロボットを一から手作りしています。作ることで生まれるアイデアがあるからです。ぜひ、一緒にユニークなロボットを発明していきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 機械の設計・修理を手がけていた父の影響で、工業高校で機械についての知識と技術を習得し、工業高校の教員になろうと思い大学に進学しました。そして大学の指導教授にすすめられて、大学院の博士課程に進み、そのまま研究者の道を歩み始めました。専門はロボット工学です。
 誰にも考えつかないような新しい発想でロボットを作ることを、研究と開発のモットーにしており、学生たちとの雑談やSF小説などからインスピレーションを得ています。これまでも、ユニークで実用性の高いロボットをいくつも開発し、社会に貢献してきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

研究所・大学・高専の研究者・先生/自動車・ロボット・機械・電機・化学などメーカーの研究開発・設計・製作/ベンチャー起業など

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