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福島大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 野生動物、
  • 共存、
  • 狩猟、
  • 民族、
  • 密猟、
  • 国立公園、
  • 生態、
  • エチオピア、
  • 文化

エチオピアの狩猟文化の継承が、野生動物との共存を可能にする

思いを理解し文化を尊重する客観的視点が必要

 アフリカのエチオピアには野生動物とともに暮らす人たちがいます。彼らは牧畜と農業、狩猟を生業として暮らしてきた民族集団です。アフリカ象など絶滅の危機にある野生動物の密猟が横行した時代に国際社会は、現地の住民を批判しました。対応策として政府は国立公園を設けて住民を排除し、狩猟禁止の政策を実行しました。この地域の牧草を家畜に与えていた住民が反発するのは当然で、狩猟文化を持つ彼らには、狩猟禁止もまた受け入れ難いことでした。
 野生動物保護の名目で政府はかなりの強行策も実施してきましたが、現在は計画段階から住民参加を促し、一緒に検討する方向に変わっています。しかし国立公園を管理する政府と住民の対話はなかなか進みません。同じ意識で向き合うために、住民の思いを理解し、継承してきた文化を尊重できる客観的な視点が求められています。

狩猟文化の継承が必要な理由

 野生動物と共存をめざす上で重要なことは、動物の生態を知っているということです。動物の行動を熟知しているのは生物学者ではなく、地域に住み、動物を尊重しながら関わってきた狩猟者です。狩猟を禁止して狩猟文化が途絶えることは、「野生動物を知る人がいなくなる」ということでもあり、人間と野生動物との共存を難しくします。野生動物が人里へ入り込んでトラブルが多発している日本をはじめとする先進国の現状を見ても、それは明らかです。

人と野生動物が共存するために

 かつての狩猟は弓矢やワナが主な道具でしたが、今は自動小銃です。近隣の内戦地域から武器が安く流れてくるのです。「野生動物の楽園」というイメージを観光資源として活用する国立公園も増えていますが、観光客がもたらす現金が現地の人々の生活を変え、狩猟者の減少につながることも危惧されています。
 人と野生動物の共存を考える上で、狩猟者の技術の継承を国際社会が正しく評価することが求められており、そのための現地調査・研究が続いています。

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サファリから考える人と野生動物の共存

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観光資源と野生動物との関係

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絶滅保護種を守る

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住民への環境教育の難しさ

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この学問が向いているかも 生態人類学、環境学


行政政策学類 地域と行政専攻 教授
西﨑 伸子

先生の著書
メッセージ

 エチオピアを中心としたアフリカ地域の野生動物と人との共存について、生態人類学的手法で長期にわたってフィールドワークしています。世界の情報が瞬時に手に入る今、アフリカでいまだに横行する密猟のニュースはよく見聞きします。しかし野生動物とともに暮らしてきた住民の歴史や文化、思いなどはまったく報じられません。
 そうした現地の人たちの声を正しく知るために、住民と暮らし、生活を体験しながら研究を続けています。心が揺さぶられる瞬間に出会いたいあなた、「アフリカの今」を一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 動物が好きで、理学部生物学科に進学し、動物系統分類学の研究室に入りました。
 ある時、アフリカの考古学の話を聞いて「アフリカに行きたい」と思い、青年海外協力隊として環境教育を主な目的にエチオピアに2年間滞在しました。そしてアフリカ、特にエチオピアと深く関わるようになりました。
 アフリカには「野生動物の楽園」のイメージがありますが、そこには人々の暮らしがあり、人と動物が共存してきた歴史があります。今も続く密猟や国立公園の観光地化によるさまざまな課題を通して、人と野生動物の共存と共生を考えています。

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