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講義No.08491

脳を磁気で刺激して、体が動く仕組みを解明する

脳からの信号が随意運動を起こす

 人間が自分の意思によって体を動かすことを「随意運動」と呼びます。随意運動は、脳から電気信号が神経細胞を伝って体のその部位に送られることで実行されます。脳のどの部分が体のどの部位を制御しているのか、その機能を解明する方法の一つが「経頭蓋磁気刺激(けいとうがいじきしげき)」、英語で「TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)」と呼ばれる方法です。この研究は、1985年にイギリスのアンソニー・ベイカーらによって始められました。

磁界で、弱い電界を脳の中に発生させる

 経頭蓋磁気刺激では、8の字の形をした電磁石コイルの装置を用います。コイルに電流が流れると磁界が発生しますが、人間の頭の近くでこの装置を用いると、急激な磁界の変化にともなって、「ファラデーの電磁誘導の法則」による弱い電界が脳の中で発生し、神経細胞に刺激を与えます。例えば、右腕の随意運動をつかさどっている脳の部分にこの装置で刺激を与えると、本人の意思とは関係なく、右腕が動くのです。
 それ以前に研究されていた脳に電気で刺激を与える方法と違って、経頭蓋磁気刺激は被験者が不快に感じる度合いが少なく、肉体的なダメージを受けない非侵襲的な手法であることが特長です。これまでの研究で、脳の各部分が体とどう結びついているのかという点の解明はかなり進んでいます。

リハビリなどへの応用も期待

 経頭蓋磁気刺激は、脳の機能の分析のためだけではなく、さまざまな分野への応用も期待されています。例えば、脳梗塞(こうそく)などを発症した後にリハビリを行う際、経頭蓋磁気刺激を併用することで、脳の活動を高めてリハビリの効果を促進させる試みが行われています。また頭痛を和らげる効果があるのではという研究や、うつ病などの精神疾患の治療にも応用できるのではという研究も行われています。脳の機能のさらなる解明が、思いがけない分野への応用につながっていくかもしれません。

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磁気で脳を刺激すると何がわかる?

夢ナビライブ2017 東京会場

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バッターの脳は0.47秒で情報処理してる

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磁気で脳を計測して機能を調べる

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刺激で脳を理解する研究

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 生体工学

前橋工科大学
工学部 システム生体工学科 准教授
小田垣 雅人 先生

メッセージ

 私の研究室では、人間が自分の意思によって体を動かす「随意運動」に関する脳の機能の解明を試みています。「経頭蓋磁気刺激」という方法を使って、脳に磁気で刺激を与えた時に得られる応答から、脳のどの部分が体のどの部分を動かしているのかを分析しています。これから先、さまざまな分野への応用が期待されている研究分野です。
 研究に必要な装置は、作れるものはなるべく自分たちで作っています。ものづくりに興味のある人は、きっと楽しみながら研究できると思います。ぜひ私たちと一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 祖父が町工場を経営していたので、子どもの頃から機械がたくさんあるものづくりの現場には、なじみがありました。また、父は電気系の自営業を営んでいて、秋葉原の電気街に製品を納品しに行ったりもしていました。そうした環境で生まれ育ったこともあり、自然と電気系の研究の道にひかれていきました。「自分の作ったものが世の中で人の役に立つといいな」と考え、医療と工学の両方にまたがる「医用工学」の分野を選択したのです。
 現在は、磁気刺激による人間の脳の機能の解明に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医療機器メーカーの開発/エンジニアなど

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小田垣 雅人 先生がいらっしゃる
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 前橋工科大学は、全国的にも数少ない公立の工科系大学で、先進的で個性が光る幅広い学科が特徴です。小規模な大学ですが、少人数教育によるきめ細やかな指導や、演習・実習・実験などの体験的な授業が自慢です。暮らしやすい前橋市で、地域社会の発展と福祉の向上に貢献する技術者を一緒にめざしませんか。

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