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大阪府立大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 談話分析、
  • コミュニケーション、
  • マスメディア、
  • 言葉、
  • ドラマ、
  • 社会、
  • 言語学

言葉は社会で作られ、言葉は社会を作る

相手に意図が伝わる不思議

 建物から火が出ている光景を見た人は、多くの場合「火事だ!」と叫びます。しかし、この言葉の本当の意味は「あの家は火事です」ではなく、「危ないので逃げてください」です。不思議なことに、実際の意味とは違う言葉を使っていても、私たちは相手の意図を理解することができます。これは、コミュニケーションが言葉だけでなく、文化や状況といった「文脈」の中で成り立っているからなのです。

言葉の使われ方を考える

 私たちは人と会話している時だけでなく、本を読んでいる時やテレビを見ている時にも多くの言葉に触れています。言語学では、文脈の中でまとまった意味を表す言葉の単位を「談話」と呼びます。例えば、ドラマのワンシーンで発せられるせりふも談話の一つです。「大嫌い!」とヒロインが言っても、それまでの話の展開や文化を登場人物と共有しているため、ヒロインが本当は「好きだ」ということを伝えたいのだとわかります。言葉自体が持つ意味だけではなく、文脈などの要素も含めたコミュニケーションが行われているのです。談話の中で相手に意図が伝わる過程や言葉の働きを解明するのが「談話分析」です。文法だけでなく、社会での実際の言葉の使われ方にも目を向ける、言語学の中でも比較的新しい学問です。

よりよいコミュニケーションのために

 一方で談話には、何らかの社会的影響を与えるという側面があります。そのわかりやすい例がマスメディアです。ニュースや新聞の報道は、言葉の使い方によっては人々に与える印象を操作し、時には特定の考え方を押し付けることにもつながり、社会を変える力にもなり得るのです。
 本当に伝えたいことが伝わっているのか、意図に反したコミュニケーションが行われていないかを考えるのも談話分析の一つです。そのようなコミュニケーションのずれは、私たちが当然共有されていると思っている文脈が人によって違うことから生じます。文脈の差異に配慮することによって、私たちはよりよいコミュニケーションを模索することができるのです。

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この学問が向いているかも 言語学、社会言語学


現代システム科学域 環境システム学類 教授
高木 佐知子

メッセージ

 私の研究室では、あなたが普段何気なくテレビやインターネットで目にしたり、耳にしたりしている「言葉」について研究しています。言葉を通じて考えるということは私たち自身や、会話の相手、そして社会について考えることにつながります。
 高速で大量の情報が行き交う現代社会では、言葉の使い方には十分な注意が必要です。言葉は単なる道具ではなく、私たちの人間性や考え方を表し、それらを変えていく力を持っているのです。ぜひ、言葉の奥に広がる世界を一緒に探究していきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 言葉が聞き手にどのように伝わっているのか考えたことがありますか?
 私は、もともと英語が好きだったので、大学でも英語を専攻しました。卒業後、会社員として働いていましたが、英語教師への転身をめざして大学院に入りました。そして、普段私たちが使っている言葉を分析する「談話分析」の講義で、言葉一つひとつに「自分がどんな人間なのか」ということが反映されていることを知り、大きな衝撃を受けたのです。それ以来、言葉の面白さの虜になってしまいました。
 言葉には、文化や社会的背景、人間同士の関係が表れているのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学・高校教師/大学教員

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