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講義No.08284

人工知能(AI)の成長を促す、「人間的な経験の学習」とは?

人工知能と人間の脳

 人工知能(AI)とは、人間と似た知能を人工的に作り出したものです。人間の知能は脳の働きに依拠しているので、脳がどのような仕組みで知能を発揮しているのかを解明できれば、それをコンピュータにプログラムし、脳と似た働きをさせることができます。例えば、人の顔を認識するとき、脳は膨大な視覚情報の中から、顔の特徴を抽出しているはずです。肌の色、目・鼻・口などのパーツや、その位置関係などが、特徴であろうということは推測されていますが、そのほかにも未解明のさまざまなメカニズムがあります。

「機械学習」という方法

 脳の情報処理のメカニズムは、全体像が十分に解明されているわけではありません。しかし、人工知能は脳の解明を待たずに、さまざまな方法によって進化を続けています。その方法の一つに「機械学習」があります。簡単に言えば、コンピュータ自身が与えられたデータを「学習」し、有用なパターンを抽出して識別の精度を上げられるようにプログラムする方法です。この方法によって、顔認証の性能は大きく発展しています。

コンピュータに「人間らしい経験」をさせる

 また、人工知能の精度を上げる方法の一つに、コンピュータに「人間的な経験をさせる」という、ちょっと意外なアプローチも試みられています。コンピュータに物体識別させるとき、通常では数百万枚の画像が必要なのですが、人間の体内の病変などは、画像がそんなに多く入手できないこともあります。そこで病変の画像だけでなく、自然の風景やさまざまな質感など、人間の脳が成長過程で目にするものをコンピュータに学習させる試みです。
 病変を見分ける能力の高い医師は、病変の画像だけでなく、風景をはじめさまざまなものを見て育っているのですから、コンピュータにも医師と似た経験を積ませれば、病変の識別能力の向上が図れるのではないかという発想です。
 この試みによるコンピュータの病変識別精度の向上が認められており、今後の展開が期待されています。

人間の視覚に近づく人工知能の「眼」

夢ナビライブ2017 東京会場

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この学問が向いているかも 脳科学、工学

電気通信大学
情報理工学域 Ⅰ類(情報系)メディア情報学プログラム 教授
庄野 逸 先生

メッセージ

 私は「人工知能」と「脳科学」に基礎を置いた学問分野を研究しています。この分野は、さまざまなバックグラウンドを持つ先生方が協力して作り上げてきたもので、とても興味深いものです。今では当たり前になっている顔認証の仕組みや、体の中の病変を読み取る技術などにも、この分野の研究が貢献しています。
 世の中にはいろいろな学問分野があり、高校生から見ると、どのように社会の役に立つのかがわかりにくい場合もあるかもしれません。それでも、学問は社会の役に立つものですから、一生懸命に勉強して大学に進んでほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 思春期の頃に、祖母を亡くすという悲しい経験をしたとき、人間の死や人間の脳について深く考え、もし脳がコピーできるのなら人間は死ななくても済むのではないか、と考えたこともありました。
 「脳とは何なのか」「どんな仕組みなのか」、そうした疑問から、脳を解明する学問を志しました。「生物としての脳」にアプローチするのが医学であるなら、「システムとしての脳」に工学の分野からアプローチすることを選んだのです。
 解明されていく脳の仕組みを駆使して、人工知能の発展をめざす研究に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

システムエンジニア/医療機器メーカー/電子機器メーカー/通信会社研究員

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庄野 逸 先生がいらっしゃる
電気通信大学に関心を持ったら

 電気通信大学は、日本初の電気通信単科大学として無線技術者の養成はもとより、電気通信科学のあらゆる分野にわたって古くから研究者や技術者を送り出してきました。先端科学技術を支える全分野を網羅し、電子・情報分野に特化した研究、教育を行うユニークな大学です。社会に信頼され、社会から頼りにされる大学を目指し、ものづくりに意欲を燃やす学徒の期待に応える教育環境を提供します。

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