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講義No.08149

脳はどうやって「育つ」のだろう?

赤ちゃんの能力を育てるものとは?

 人間の赤ちゃんの脳は、外からの刺激や経験によって成長します。「見る」「聞く」という基本的な能力も、刺激や経験が少ないと育ちません。
 例えば、目の病気である「弱視」は、子どもの視力が悪い状態で止まってしまうことを言いますが、左右の視力が大きく異なると、脳はよい方の目からの情報だけを採用します。視力が低い方の神経は使わなくなるのです。また近眼がひどい場合は、きちんとした像が脳に伝わりません。すると脳は鮮明な像を経験することができないまま、ぼんやりした世界に適応してしまうのです。いずれもそのまま成長すると、メガネなどで矯正しても、視力の回復は難しくなるので、早い時期に脳に立体感や遠近感、鮮明な世界を経験させることが重要です。

なぜ、難しい? 「LとR」の発音の聞き分け

 脳は、入ってくる情報で「何が必要で、何が要らない」のかを判断し、「この能力は強くする、一方は捨てる」を繰り返しています。それが、脳が育つプロセスです。
 言語的な例では、日本人は、英語の「LとR」の発音の聞き分けが難しいとされます。実は、日本人でも赤ちゃんの頃は聞き分けられているのです。ところが、日本語にはその区別は必要ないので、日本語だけを使う環境で育つと、脳は能力を捨ててしまい、聞き分けられなくなってしまうのです。

脳をやわらかく、いきいきと暮らそう!

 人間が刺激や経験を与えられ、それによって能力を獲得できる時期を「臨界期」と言います。視力の臨界期は、生後1カ月から、7、8歳くらいまでです。能力によって、タイミングと長さが違っていて、社会的な判断をする前頭葉は、10代後半でも、まだ成長過程です。
 記憶をつかさどるのは海馬(かいば)です。ロンドンのタクシーの運転手は、市内の地図を全部覚えるというトレーニングを受けます。この厳しいトレーニングの後では、海馬が物理的に大きくなっているというデータがあります。年齢を重ねても、脳は成長することができるのです。

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この学問が向いているかも 生命科学、脳科学

鳥取大学
医学部 生命科学科 教授
畠 義郎 先生

メッセージ

 進路を考える際、就職や将来のことを含めて、「ベストな選択をしたい」と思っているでしょう。でも、何がベストな選択なのか、誰にもわからないのも事実です。とにかく、今、面白いと思う分野へ飛び込んでみるのがいいと思います。
 私は脳の発達の研究をしていますが、この分野を志したのは大学院からなのです。脳は経験を積んで、どんどん変化します。それぞれの脳は、その人の経験が積み重なったような「臓器」です。自分の暮らしが心と脳をどのように変えていくのか、そのことに興味があれば、脳についてぜひ学んでください。

先生の学問へのきっかけ

 私は高校時代、遺伝学かロボットの研究のどちらの道に進むか迷っていました。結果として遺伝を選びましたが、在学中に脳への関心が高まり、方向転換し、大学院で本格的に脳の研究を始めることにしました。
 研究の楽しさは、誰も知らないことを最初に知ることです。研究を続けていると「みんなこうだと思っているけれど、実はこうだった」ということもよくあります。研究の成果がいつ出るか計算できるわけではないので、苦心する点もありますが、これまでと違う考え方、理解の仕方ができた時がとてもうれしくて、研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/製薬会社研究員/食品会社開発/官公庁医薬品審査/ソフトウェア会社開発

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畠 義郎 先生がいらっしゃる
鳥取大学に関心を持ったら

 鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。

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