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京都ノートルダム女子大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 家族、
  • がん(癌)、
  • 患者、
  • ストレス、
  • カウンセラー、
  • 社会復帰、
  • 病気、
  • 心理、
  • 心理学

心理ケアが必要なのは患者だけではない!

家族は「第二の患者」?

 現在、日本人の2人に1人が生涯のうちにがんになると言われており、誰しも発症の可能性がある身近な病気です。患者自身が体調に不安を覚えたり、苦痛をともなう治療に耐えたりと心身ともにケアが必要なのはもちろんですが、同時に家族も「第二の患者」と言われるほど、心理的ストレスを受けています。例えば家族のひとりが患者のケアを独占しほかの家族が関われないと家族内で緊張が増し、患者が亡くなった後で関係に亀裂が生じる場合もあります。いつかは別れがやってきますが、穏やかな雰囲気の中で終末を迎えることが、患者にとっても残された家族にとっても大切です。

対人関係の緊張をなくすために

 家族内の問題はなかなか表に出にくいものですが、患者と接触する時間が長い看護師の気づきによって問題が発覚し、心理カウンセラーが介入するケースが多々あります。カウンセラーは一人ひとりが持つ不安・不満を聞きだしながら、「あの人はなぜそんな行動をとるのか」、「家族の皆が本当にめざしているものは何か」に気づいてもらいます。自分を含め周囲との関係性を客観的に理解することで、感情的にならずに患者や家族と向き合えるようになっていきます。ひとりの気持ちや態度に変化が表れると、徐々に周囲の行動は変わっていき、怒りではなく素直な悲しみの気持ちを共有しながら、患者と最後の時間を過ごせるでしょう。

誰もが生きやすい世の中をつくる

 最近はがん患者本人への病名の告知が主流になり、それにともない患者の心理的ケアが広がっています。再発の恐怖感や「周りから特別視されるのでは」といった疎外感から、なかなか活動的になれなかったり社会復帰できなかったりする場合もあります。「普通」から外れたと感じると、自身も社会も受け入れられず拒絶的になりがちです。このことは、ひきこもりや社会的マイノリティにおいても同様です。どのような場合でも、本人そして家族のその人らしい生き方や一緒に暮らせる社会のあり方を考えるのが、心理カウンセラーの役割だといえます。

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臨床心理学~弱さが苦悩を和らげる~

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この学問が向いているかも 医療心理学、臨床心理学、精神医学


現代人間学部 心理学科 教授
河瀬 雅紀

メッセージ

 私はがん患者さんの心のケアを中心に、またひきこもりや対人恐怖の人の心理状態も研究しています。同時に、そのような人々の支援活動を学生と共に行っています。何か支援を行う際、「こうあってほしい」と私たちは知らず知らずのうちに普通や世間並みという「基準」に当てはめて考えがちです。しかし「普通」から外れてしまう可能性は誰にでもあり、支援を行う側は常識に縛られずにその人らしく生きていけるよう考える必要があります。心理的な側面から誰かを支えたいと考えているのでしたら、ぜひ一緒に活動に取り組みましょう。

先生の学問へのきっかけ

 もともと自分に自信がなく、生きる意味に関心を持っていたところ、大学時代に、ハンセン病患者の心のケアについて書かれた本に出合い強い衝撃を受けました。その後、精神科の閉鎖病棟の実習で、「こんな世界があるのか」と再びショックを受け、心理的ケアの道を進むことになりました。そして、総合病院やホスピスで勤務し、ターミナルケアについて学びました。痛みに耐えながら治療を受けるがん患者とふれあう中で、ハンセン病の本や閉鎖病棟での研修に通じるものを感じ、現在の仕事に繋がっていきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院心理カウンセラー/学校スクールカウンセラー/児童相談所心理判定員

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